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役に立つ

役に立つ」とは,その事のために十分適している,用をなすに足る,という意味で使われています。「この機械は古いがまだ役に立つ」と物にも使われますが,「世の中の役に立つ」とか「人の役に立つ」などと人に対して使われることが多いです。

 現在放映中のTVドラマ『ごめん,愛してる』は,韓流ドラマの焼き直しらしいのですが,親に捨てられて孤児院で育てられ,韓国ヤクザの世界に身を置いた主人公が,余命3ヶ月の宣告を受け,最後に母に会いたいと,日本に戻ってきます。
子を捨てるぐらいだから,母は経済的に困っているはずと,大金を手に戻るのですが,弟がいて,アイドルピアニストとして売り出し中で,豊かな暮らしをしているのでした。
このあたりは,長谷川伸(1884-1963)の『瞼の母』に設定が似てますね。
主人公の思いは一つ,人の「役に立つ」ことでした。

人間たるもの,生れて来たからには,何かの役に立ちたい,せめて少しでも人の役に立ってから死にたいと思うのは自然です。
特に,先が見えてきたら,そういう思いが強くなるのはよく分ります。

人類が進化してきたのは,二足歩行して,手が自由になり高度な動作が可能となった反面,逆に起立したことによって骨盤に圧迫され産道が狭くなり,出産すら独りではできず,仲間の手助けを必要としました。この共同作業を必要とする生き方が人類を発展させた大きな要素だったのです。
そういう意味では,陸上競技の100m×4リレーで,日本選手が,個々の力では劣るのに,先の世界大会では銀メダル,ユニバーシアード大会ではアメリカを抑えて堂々の金メダルを獲得する快挙をなしとげたのは,まさにこの助け合いの精神が生かされたからでしょう。
共同作業や連帯が得意な日本人が,これからも活躍できる場面は多くありそうですね。

「役に立つ」の反対語は,「役立たず」でしょうか。
これは相当に強い言葉で,もし,こう言われたら,人間としての能力を,全否定されたようで,衝撃です。

以前,カナダで,厳しい語学教育をすることで有名なクィーンズ大学キングストン校で英語教育を受けたことがあります。
ディベート(debate,討論)の時間に,高齢者問題を取り上げたとき,メキシコから来た若い女子が「老人は役立たず(useless)」と発言し,「彼らの経験と知識は役に立つ」などと厳しく反論されておりました。こんなことを高齢社会の日本で発言したら,とんでもないことになりますね。
しかし,若い人の本音なんでしょうか。近い将来,自分もそうなるのにね。

今回の歌は『浜辺の歌』です。

 林古渓(こけい)作詞 成田為三・作曲(1916)

あした浜辺をさまよえば
昔のことぞ忍ばるる
風の音よ 雲のさまよ
寄する波も かいの色も

ゆうべ浜辺をもとおれば
昔の人ぞ忍ばるる
寄する波よ かえす波よ
月の色も 星のかげも

林古渓(1875-1947)は林羅山に連なる学者の家系で,本名は竹次郎,東京・神田出身の歌人・作詞家・漢文学者。

成田為三(1893-1945)は秋田出身の作曲家。秋田師範を卒業後,1年間小学校で教鞭をとった後,東京音楽学校(現東京藝術大学)に入学,山田耕筰に師事,在学中に『はまべ(浜辺の歌)』を作曲,ドイツに4年間留学,多くの管弦楽曲,ピアノ曲を作曲しました。初期に作った童謡が代表作のように扱われて,本格的な作曲技法を見につけたご本人としては不本意だったと思いますが,日本人に広く親しまれていつまでも愛唱される『浜辺の歌』は名曲で,それは名誉なことでしょう。

秋は変化の季節,9月は台風もあり,気象変化には繊細に対応する必要があります。毎日の気温変化には気を付けて,ふさわしい衣服の選択をしましょう。秋雨前線が発達してきて,そこに台風が重なったりすると,大きな災害を引き起こす危険があります。9月は防災の月でもあります。大雨がふったら車や自転車は控え,不急の外出も控えた方が安全でしょう。

この季節は,おいしい食べ物が豊富な食欲の秋,秋空のもとスポーツの秋のシーズンです。
食事と運動は健康のみなもと,食べ過ぎには注意して,適度な運動をして,元気にお過ごしください。

言葉の力

言葉によって意思を伝える,ということはとても大事なことなんですが,実際,これがなかなか難しいのです。

発言者の表現力と,受け取り手の理解力に差異があって,十分に伝わらないことも多いんです。

これが教師や指導者の場合,発信者の言語表現能力が不足していると,思うように伝わらなくて,「言ってもわからない者には,力でわからせる」と,自分の能力不足を棚に上げて,腕力(暴力)を振るうことが,これまで多々ありました。
一見,その場が治まったように見えても,暴力を振るわれた被害者にとって,恨みが潜在して後々までも残ります。
このような単純な発想の人たちは明らかに指導者失格で,真剣に取り組んでいる誠実な指導者の足を引っ張っています。

言葉による発信力を最も必要とされる仕事の一つが,政治家でしょうか。

2016.5.27,オバマ米大統領は広島の平和記念公園で17分間にわたりスピーチを行いました。
ゆっくりとした明瞭な発音で,原稿もなしで,話しかけるような態度で,中学生でも分るような英語でした。
これが政治家のいわゆる「記憶に残る演説」か,と思いました。
大統領側近の副補佐官は,オバマ氏は演説直前まで推敲(すいこう)を重ねていたと証言しています。
彼の訪問の主たる目的は,追悼・慰霊よりも,歴史に「核時代放棄」を宣言することだったのです。

このスピーチに続いて,安倍首相も所感を述べましたが,ライターの差もあって,国際社会に訴える点で弱いと感じました。

ここで保阪氏(6.11「毎日新聞」保阪正康の記事から)は,オバマのスピーチに対抗しうる,原稿なしで被爆国の悲しみと怒りを国際社会に伝え,そして核廃絶を訴えうる指導者は誰だろうか,と考えました。

戦後,首相の座にあったのは33人でした。オバマ大統領に対抗して,詩人や哲学者・宗教家・政治家などあらゆる能力を駆使して即興で所感を述べられるのは,吉田茂,石橋湛山,大平正芳,細川護熙,福田赳夫,小泉純一郎などではなかろうか,と述べています。

現在,参議院選挙の真っただ中です。自公連立政権は2/3の議席を確保し憲法改正を現実化しよとしていますが,選挙演説では自公のどの候補者も争点として「憲法改正」を公言していません。

これは,まったく選挙民を誤魔化す不誠実なやり方ではないでしょうか。

自民党の憲法改正草案のなかでも「9条」とともに,多くの賢人たちから問題視されているのが,「緊急事態条項」です。
これは,大災害や有事の際に国に強力な権限を与えるもので,かつてヒトラーワイマール憲法を無力化して独裁化したやり方に匹敵する,使い方のよって非常に危険なことが起こり得る恐ろしい条項です。

ご存知のように,英国で国民投票によってEU離脱が決まりました。
驚いたことに,現在,英国でのネット検索ワードの1位2位が「EU離脱で何が変わるの?」「EUってなに?」なんだそうなんです。
投票した人たちは,そんなこともよく知らないで,熱く舞い上がって,よくわからないまま,乗せられて投票した,ということです。

今回から,18歳から選挙権が与えられるようになりました。
将来のことをよくよく考えて投票しましょう。

ところで,今,ア・カペラ(a cappella)が熱いですね。
本来はイタリア語で「礼拝堂風に」という意味で,ルネサンス時代の教会合唱の様式で,無伴奏の合唱の様式でした。

1960年代に,スウィングル・シンガーズという男女8名のグループが,クラシックの名曲を歌詞なしで声だけの無伴奏演奏で,一世を風靡しました。

ポピュラー音楽では,ジャズでルイ・アームストロングが歌詞を忘れて即興で「ダバディダ…」とやって,スキャット(scat)が生まれたといいますが,1980年代に,マイク使用を前提に,声でパーカッション効果を出したりして,演奏に厚みを加えて流行ってきました。

以前は,グリー(glee)というのは,無伴奏の男声合唱を指し,大学のサークルで「グリー・クラブ」と名のる男声合唱団が質の高い演奏をして全盛の時代もありましたが,どうも,現在は,「アカペラ」グループにその座を奪われているような状況です。

それで,今回紹介するのは,Little Glee Monstor(リトル・グリー・モンスター)という女子高校生の6人組(大阪3,北海道1,山梨1,静岡1)です。2013年結成の若いグループですが,日本の女性ボーカルもここまで来たか,の感慨があります。

若い力は音楽だけにとどまりません。

2016.6.10,世界最高峰の一つ,英ロイヤルバレエ団は,平野亮一(32),高田茜(26)さんの二人がそろって最高位のプリンシパル(principal)に昇格した,と発表しました。日本人では吉田都,熊川哲也さん以来となります。

ちなみに,世界三大バレエ団とは

フランス オペラ座バレエ
ロシア  ボリショイ・バレエ
イギリス ロイヤル・バレエ

バレエは,ルイ14世(1638-1715)の時代に完成したといわれ,バレエ用語は世界共通で,ロシアでもイギリスでも,フランス語です。自らも「太陽王」と名のり,舞台に立ちました。ベルサイユ宮殿もこの時代に建てられ,文芸で黄金時代を現出しましたが,経済は疲弊し,その影響で,2代後のルイ16世のときに,フランス革命(1789)が勃発します。

さらに,2016.5.18,世界で最も権威のあるバレエ・ダンス賞の一つ,ブノワ舞踊賞をオニール八菜(23)さんが受賞しました。
現在,彼女はオペラ座のプルミエ・ダンスーズ(第1舞踏家)で,最高位のエトワール(「星」の意)の一歩手前です。
八菜さんはニュージーランド人との混血ですが,古い言葉で言えば「和魂洋才」で,大和撫子の繊細で優雅な心を世界で表現してもらいたいものです。

現在,梅雨の季節です。これが明ければ暑い夏が待っています。この厳しい季節,熱中症に気を付けて,暑さをしのぎ,食事に気を付けて,元気に乗り切ってください。

たまごの話

たまごは,われわれにとって,昔からとても馴染み深い食べ物です。

西洋では「生命の象徴」とされていて,Easter egg〈復活祭の卵〉と言われ,復活祭の前日にうさぎ(bunny)が卵を持ってくる,という言い伝えから,彩色したたまごを贈り物にしたりします。

ことわざや故事でも,

丸い卵も切りようで四角
(物事はやり方で次第で円満にも行けば,角が立つこともある)

● コロンブスの卵
(誰にも可能なことでも,最初にすることの難しさをいう語)

鶏が先か,卵が先か
(互いに循環する原因と結果の端緒を同定しようとする,因果性のジレンマ)

など,いろいろとたまごが使われています。

また,たまごには「未熟だけれども,これから成長の見込みがある」というイメージがあり,「学者の卵」とか「画家の卵」のように,初心者や駆け出しの者を意味する場合に使われます。

さらに昔から,たまごは滋養強壮で知られており,イタリア映画『ひまわり』でも,新婚のソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニの住む家の窓辺に,毎朝,新郎の母親から籠いっぱいの卵が届けられて,二人は辟易する,というのもありました。

実際,たまごは栄養豊富で,たまご2個分で,( )内は1日の必要量の割合〔%〕

・エネルギー  157kcal (8%)
・たんぱく質  12.8g    (26%)
・脂質     10.7g    (19%)
・ビタミンA  15μg (26%)
・ビタミンB2  0.45mg(38%)
・ビタミンB12  1.0μg     (42%)
・ビタミンD   3.1μg    (62%)
・ビタミンE  1.1μg     (14%)
・リン     187mg  (21%)
・亜鉛     1.4mg    (20%)
・鉄      1.9mg    (18%)

たまごは栄養面だけではなく,その値段でも優等生です。
現在のたまご10個の値段は,地域によっても異なりますが,おおむね150~200円といったところでしょうか。もちろん,100円以下(88円とか98円)の特売もあります。

ところで,茶色いたまごと,白いたまごの違いをご存知ですか?
「茶色の方が栄養価が高い」「茶色の方がおいしい」「茶色の方が上等」などと思っていませんか?

じつは,殻の色を決めるのは,鶏のDNAによるものです。
すなわち,たまごを生む親鳥が白ければ白いたまご,茶色であれば茶色のたまごを産み落とすのです。
中身は,殻の色とまったく関係がありません。

一般に,茶色のたまごが高いのは,茶色の鶏の方が体のサイズが大きめなので,その分よく食べます。その餌代が値段に跳ね返ってきているのです。
栄養価の高いたまご,おいしいたまご,高級なブランドたまごは存在しますが,それは主として,餌の違いによるものです。

たまご料理,いろいろありますね。

子供のころ,なぜかオムライスが好きでした。外食ではいつも注文していた記憶があります。チキンライスが薄皮のたまごで包まれてケチャップがかかっていました。

丼物なら親子丼,スパゲッティならカルボナーラです。
サンドイッチもたまごサンドだけを売りにした店があります。

家庭の厚焼きたまごも,料亭では「だし巻きたまご」になり,究極はウナギを内包した「うまき」が最高です。

月見うどんも,「たまごとじ」になると少し高級感が出て,茶わん蒸しは全くの高級品です。

ゆでたまごは関西では「にぬき」と呼ばれ,最近では半熟の温泉たまごが人気です。

目玉焼き(sunny-side up),スクランブル・エッグ(scrambled eggs,炒り卵),ゆでたまこ(boiled egg),オムレツ(omelette,仏語)は外国語の表現が一般的になっています。

日本的な象徴は,スキ焼にたまごをつけて食べる食べ方,そして,究極のたまご掛けご飯は日本にしかありません。

ところで,
ある女医さんがこんな新聞記事を書いていました。
あるスポーツジムに併設されたレストランが良いと聞いて,出かけました。そこは一般客も入店できるようになっていて,彼女が座った近くに,痩身の若い男女が居て,テーブルにはゆでたまごが6個ものっていました。店頭に「持ち帰り不可」と書かれていたのを不思議に思い出して,不審に思っていると,彼らは黄身を上手に分けて捨て,白身だけを食べた,というのです。
また,べつのときに,アフリカの西海岸にある貧しい島国に立ち寄ったときに,トランクを紛失し,現地の店で買ったTシャツを着て所在なくとぼとぼと歩いていると,小さな薄汚れた少女に肩をたたかれて,少女は持っていたパンを半分に割って差し出した,というのです。
みなさんはこの対比をどう感じましたか?

この記事を見て思い出したのが,70年前の話です。
占領軍のGHQ(General HeadQuarters,総司令部)のマッカーサー(Douglas MacArthur,1880-1964)が,明日の朝食はたまご2個の目玉焼きにしてくれ,と頼のみましたが,朝食には注文した目玉焼きが出ず,昼過ぎになってようやくたまご一つの目玉焼きが出てきた,というエピソードです。
それで,彼は日本の食料事情がいかに逼迫(ひっぱく)しているかを実感し,ララ物資の支援につながるという話です。
ララ物資とは,ララ(LARA,Licensed Agencies for Relief in Asia:アジア救援公認団体)が提供した日本向けの援助物資で,1946.11~1952.6まで続きました。
援助全体の75%は食糧,20%は衣料で,多くの日本国民は,この支援で飢餓から救われました。

たった70年前のことです。そして現在でも飢えている人たちは世界中にたくさんいるのです。
個人的な見せかけの肉体美のために,大切な食糧を捨て去るような不心得な日本人が,どうして出てきたのでしょうか。
歴史を忘れるな,歴史は繰り返すぞ!
この辺で考え方を徹底的に再考しないと,とんでもないしっぺ返しが来そうです。

今回は,季節がら,この曲にしましょうか。

まっかな秋』 薩摩 忠・作詞 小林秀雄・作曲
NHK「みんなのうた」1963.10

まっかだな まっかだな
ツタの葉っぱが まっかだな
もみじの 葉っぱも まっかだな
■沈む 夕日に てらされて
■まっかなほっぺたの 君と僕
■まっかな秋に かこまれている

まっかだな まっかだな
カラス瓜って まっかだな
とんぼのせなかも まっかだな
■夕焼雲(ゆうやけぐも)を ゆびさして
■まっかなほっぺたの 君と僕
■まっかな秋に よびかけている

まっかだな まっかだな
ヒガン花って まっかだな
遠くの たき火も まっかだな
■お宮の 鳥居を くぐりぬけ
■まっかなほっぺたの 君と僕
■まっかな秋を たずねてまわる

薩摩 忠(1931-2003)東京出身の詩人,慶応大学卒,堀口大学・藤浦洸に師事,海外児童文学の翻訳多数。

小林秀雄(1931-)東京出身の作曲家,東京藝大音楽学部作曲科卒,声楽・ピアノ曲の作曲,代表作は「落葉松(からまつ)」(野上彰・詞)。

最近,世の中がおかしな方向に向かっていて,非常に危惧しています。

ドイツでは,今年の8月に,自然エネルギー利用発電量が,需要量の84%を記録しました。
ドイツ議会は2011年の福島原発事故以後,原子力発電所は全て廃炉にする方針を全会一致でいち早く決議し,今回の快挙です。

それにひきかえ,当事国の日本は,福島原発の収拾も全くできていないのに,2015.8.11に九州電力の川内(せんだい)原発の再稼働を認めました。

2015.10.1に政府は防衛装備庁を発足させ,武器輸出を増大する方針を明確にしました。経済界は,もろ手を挙げて賛成しています。
日本は平和を愛し,戦争をしない国だったはずです。
戦争を助長するような「死の商人」に成り下がろうとするのですか!

これはカジノ(casino,イタリア語)建設を推進する考え方に共通します。
賭博(とばく)の寺銭(出来高の幾分を貸元や席主に支払う)で財政を補うやり方は,まったく不健全です。
儲かりさえすれば,何をやっても良いのでしょうか。

かつて,佐藤栄作内閣の1968年,「核を持たず,作らず,持ち込ませず」の非核三原則を打ち出し,国是となり,その後の歴代の内閣でも遵守されてきました。そして,このことで1974年にノーベル平和賞を受賞するに至ります。
もっとも後に,沖縄に核が持ち込まれていたことが明白になり,平和賞委員会は「ノーベル賞委員会が犯した最大の誤り」と表明しました。

しかし,「非核三原則」は,武器を輸出して外貨を稼ごうという,いやしい考え方とは対極にあります。

新聞の投稿欄にこういう記事がありました。
尖閣諸島(東シナ海,石垣島の北方),竹島(島根県),北方領土(択捉,国後,歯舞,色丹)などの領土問題が存在するので,安保法制は必要だ,というのです。

すごい意見ですね,しかし,同様の内容の意見を持つ人は少なからずいます。
いわく「軍事力が弱いから他国から舐められている」と,思っている人が結構いるのです。

しかし,軍事力を増強して,両国間の緊張感を高めても,問題は決して解説しません。
こんなことで戦争に発展したら,元も子もありません。

領土問題で,一方が引き下がることは,先ずないですから,辛抱強く平和的に交渉して,共同利用する,というような方向に持って行くしかないのかもしれません。

先の自民党の総裁選挙で野田聖子氏が立候補しようとしたけれど,できませんでした。党所属の国会議員20人の推薦人が必要でしたが,安倍氏の切り崩しで,集まらず,立候補が出来ませんでした。結果,無投票で安倍氏の続投が決まりました。

対立する意見を完全に封じ込めるというのは,独裁者のやり方です。

NHK報道番組「クローズアップ現代」のやらせ疑惑で,放送倫理・番組向上機構(BPO)は「重大な放送倫理違反があった」とする意見書を公表しました。
その中で,この問題をめぐって放送に介入する政府・与党の動きが見られたことから「放送の自由と自律に対する圧力そのもの」と厳しく批判しました。

マスコミをコントロールしようとするのは独裁者の常とう手段です。

安保法制の反対運動で,シールズ SEALDsが活躍しました。
SEALDs(シールズ:Students Emergency Action for Liberal Democracy – s)は,「自由で民主的な日本を守るための,学生による緊急アクションです。担い手は10代から20代前半の若い世代です。私たちは思考し,そして行動します」と掲げています。

若い世代も立ち上がりました。
黙っていては,まずます危うい方向に進んで行きます。
悪い流れを断ち切りましょう。

物言えば唇寒し秋の風   芭蕉

「何事についても余計なことを言うと災いを招く」という意味ですが,言わずにはおれない,言わないといけない,ことも世の中にはたくさんあるのです。

ますます秋風が身に染みる季節になりましたが,健康に注意して,元気にお過ごしください。

おはぎの季節

秋の彼岸の季節になるとなぜか,おはぎを思い出します。
米でできたの外側にあずきの餡(あん)をまぶすもので,日本の伝統的な家庭で作るお菓子です。

おはぎに似たものにぼたもちがありますが,それらの違いについて,諸説あります。

● もち米を主とするものがぼたもちで,うるち米を主とするものがおはぎ

● あずき餡を用いたのがぼたもちで,きな粉を用いたのがおはぎ

● こし餡を使ったのがぼたもちで,つぶ餡を使ったのがおはぎ

● 米を餅の状態までついたのがぼたもちで,粒の状態が残っているものがおはぎ

● 二口ほどで食べられる小さいのがおはぎで,それ以上の大きいものをぼたもち

しかし,一番有力なのが,
牡丹の花が咲く季節,すなわち春の彼岸のころに作るのが,牡丹餅(ぼたもち)で,の花が咲く季節,すなわち秋の彼岸のころに作るのが,御萩(おはぎ)というのが,もっともしっくりきます。

いずれも,神仏や先祖への供物とされた小豆(あずき)餡の様子を,牡丹の花や萩の花に見立てたことから,歴史的な伝統をかんじます。

ことわざもあって,

棚から牡丹餅

努力することなしに予期しない幸運が舞い込んでくること。「たなぼた」と省略することもあります。
この場合,お萩ではダメなようです。

漫才師に,メガネをかけた「おぎやはぎ」というのがいて,長く「おぎ」や「はぎ」と思っていました。
は間違えやすい漢字ですから,絶妙のコンビ名と思いましたが。

いまTVのCMがおもしろいですね。
日本の昔ばなしに登場する3人の「英雄」(かどうかは分からないけどスポンサー名から推測),すなわち金太郎桃太郎浦島太郎の三太郎を登場させて,いろいろ展開します。
桃太郎かぐや姫を一緒にさせたり,乙姫かぐや姫が姉妹だったりする,荒唐無稽のむちゃくちゃな内容ですが,おもしろいです。
こういうことで,売り上げに影響するんですから,バカになりません。
ライバルは,まえから,しゃべる白犬で,北大路欣也,樋口可南子,若尾文子,上戸彩など大物俳優を登場させていますが,若干おされ気味なようです。

今回は,三太郎にちなんだ誰でも知っている童謡・唱歌にしましょうか。

きんたろう』石原和三郎・作詞 田村虎蔵・作曲(1900)
幼年唱歌(初の上)

まさかりかついで きんたろう
くまにまたがり おうまのけいこ
ハイ シィ ドウドウ ハイ ドウドウ
ハイ シィ ドウドウ ハイ ドウドウ

あしがらやまの やまおくで
けだものあつめて すもうのけいこ
ハッケヨイヨイ ノコッタ
ハッケヨイヨイ ノコッタ

桃太郎』作詞者不詳 岡野貞一・作曲(1911)
尋常小学唱歌(一)

桃太郎さん桃太郎さん
お腰につけた黍(きび)団子
一つわたしに下さいな

やりましょうやりましょう
これから鬼の征伐に
ついて行くならやりましょう

行きましょう行きましょう
あなたについて何処までも
家来になって行きましょう

ここで,よく間違うのが,2番で「やりましょう」を「あげましょう」と間違って歌う人が多いことです。ここでは,家来になるべき者に対してですから,「あげる」ではなくて,「やる」なのです。

浦島太郎』作詞・作曲者不詳(1911)尋常小学唱歌(二)

昔々浦島は 助けた亀に連れられて
竜宮城へ来て見れば 絵にもかけない美しさ

乙姫様の御馳走に 鯛や比目魚(ひらめ)の舞踊(まいおどり)
ただ珍しく面白く 月日のたつのも夢の中(うち)

遊びにあきて気がついて お暇乞(いとまごい)もそこそこに
帰る途中の楽(たのしみ)は 土産に貰った玉手箱

帰って見ればこは如何(いか)に 元(もと)居た家も村も無く
路(みち)に行きあう人々は 顔も知らない者ばかり

心細さに蓋とれば あけて悔しや玉手箱
中からぱっと白烟(けむり) たちまち太郎はお爺さん

浦島太郎は数十年間の楽しみを短期間に凝縮して過ごしたのでしょう。細く長く,楽しみも喜びもほどほどに過ごすのか,普通の人たちの人生なのかもしれません。

いま花といえばですが,むかしはでした。
ところが『万葉集』約4,500首のうち,最も詠まれている花は,で約140首,つぎがの約120首,そしては40余首に過ぎません。

秋の七草』は万葉集で山上憶良(やまのうえのおくら)がつぎの二首で示しています。二首目は旋頭歌(せどうか)で,五七七・五七七と片歌を反復した六句体です。

秋の野に 咲きたる花を 指折り(およびをり)
かき数ふれば 七種(ななくさ)の花

萩の花 尾花 葛花 撫子(なでしこ)の花
女郎花(おみなえし) また藤袴 朝貌(あさがお)の花

1. おみなえし(女郎花) オミナエシ
2. おばな(尾花)    ススキ
3. ききょう(桔梗)   キキョウ  朝貌の花
4. なでしこ(撫子)   ナデシコ
5. ふじばかま(藤袴)  フジバカマ
6. くず(葛)      クズ
7. はぎ(萩)      ハギ

また,『萩の寺』として有名なのが東光寺(大阪府豊中市)です。境内はいま萩の花で満ちています。かつては大坂豊崎の里にあり「南の四天王寺,北の東光寺」と並び称された名刹ですが,阪急電車敷設により,1914年に現在地に移転されました。最寄駅は宝塚線曽根駅で,9月中旬から下旬まで萩祭が行われています。

ところで,
消費税増税にあたって,生活必需品の税率を低く抑える軽減税率の導入に,麻生太郎副総理は「複数の税率は面倒くさい」と発言し,与党は新設したマイナンバーカードで買い物ごとに精算時に記録し,後に2%分を還元する案を提出しました,それも還元分に上限を設けて。面倒なことを国民に押し付けるやり方はじつに腹立たしいです。

国民の反対の多い安保法案をゴリ押しして通そうするのは,本当に国民の安全を考えているのか,という思いが強いです。

やはり国民の意志を反映した政府を作らないと,恐ろしいことが起こりそうです。

おかしいことは,おかしいと,飽きずに言い続けましょう。

これから秋は,何をするにも良いシーズンです。夏の疲れを取って,大いに楽しみましょう。

ホルモンの効用

ホルモン焼き,はやっているようですね。
内臓(もつ)を焼く料理,廃棄していた腸などの部位を利用した料理で,最近は朝鮮系の内臓焼肉を,ホルモン料理というようになったようです。

ホルモン焼きの語源は,「棄てるもの」の大阪弁で「放るもん」から来ている,という説がありますが,真偽のほどは定かではありません。

コラーゲン(動物の皮・腱・軟骨などを構成する蛋白質の一種)が含まれるので美容に良いと一般に信じられているようですが,摂取してもそのままコラーゲンとして吸収されるということは実証されていません。

むしろ逆に,消化が悪く,カロリーも高く,プリン体を多く含むので,痛風の原因となることから,現在では,健康にとって良くないとされています。

ところで,
生化学におけるホルモンとは,生体内の特定の器官から分泌され,体液とともに体内を循環し,特定の組織の機能に影響を与える物質の総称です。

たとえば,オキシトシンというホルモンがありますが,通称「愛情ホルモン」とも呼ばれており,その効果は

1.人への親近感,信頼感が増す
2.ストレスが消えて幸福感を得られる
3.血圧の上昇を抑える
4.心臓の機能をよくする
5.長寿になる

と良いことずくめです。
オキシトシンの分泌を促すための方法は

1.他人に触れる
2.感動し,それを言葉にだす
3.好奇心を持つ
4.親切心を心がける
5.愛撫や抱擁などの皮膚接触や性交渉を行なう

つまり,愛情行為と元気さとは,鳥と卵はどちらが先か,と似たような関係にあり,元気があるから愛情行為を活発に行ない,その結果,その行為によって更に元気になる,という相乗効果が生まれます。

このオキシトシンは,哺乳類だけがもっているホルモンで,脳と心が癒され,満たされた気持ちのなりますから,世界中に広めると,みんなが信頼し合い,平和な関係が拡散されていきます。

みんなで手をつないで,平和の輪(鎖)をつくるというのは,生理学的に言って,信頼感・安心感を共有するためには合理的なやり方です。

今回の歌は,1960年に永六輔いずみたくが制作・公演したミュージカル「見上げてごらん夜の星を」の劇中主題歌で別のグループが歌っていましたが,1963年に坂本九の歌で大ヒットしたこの曲にしましょう。

見上げてごらん夜の星を
永六輔:詞 いずみたく:曲 坂本九:歌(1963)

 見上げてごらん 夜の星を
 小さな星の 小さな光りが
 ささやかな幸せを うたってる

 見上げてごらん 夜の星を
 ぼくらのように 名もない星が
 ささやかな幸せを 祈ってる

 手をつなごう ぼくと
 追いかけよう 夢を
 二人なら 苦しくなんかないさ

 見上げてごらん 夜の星を
 小さな星の 小さな光りが
 ささやかな幸せを うたってる

 見上げてごらん 夜の星を
 ぼくらのように 名もない星が
 ささやかな幸せを 祈ってる

2002年,全国の天文台が行ったインターネット調査で「『星』で思いつく歌」という質問に対して,ディズニー映画ピノキオのテーマ曲「星に願いを」に次いで,本楽曲が2位に選ばれました。

永六輔(33-) 東京の元浅草の生まれ,早稲田大学中退,放送作家・作詞家・タレント・随筆家。代表作は「黒い花びら」中村八大・曲 水原弘・歌(59),「上を向いて歩こう」中村八大・曲 坂本九・歌(61),「にほんのうた」シリーズ いずみたく・曲 デュークエイセス・歌,『大往生』など。

いずみたく(30-92) 東京生まれ,舞台芸術学院卒,芥川也寸志に師事,作曲家。代表作は「いいじゃないの幸せならば」岩谷時子・詞 相良直美・歌(69),「夜明けのうた」岩谷時子・詞 岸洋子・歌(64),「夜明けのスキャット」山上路夫・詞 由紀さおり・歌(69)など。

坂本九(41-85) 神奈川県川崎市の生まれ,歌手・タレント。代表作は「上を向いて歩こう」永六輔・詞 中村八大・曲(61),「明日があるさ」青島幸男・詞 中村八大・曲(63)など。
1985年8月12日,日本航空123便墜落事故にて死去。

ロシア系の社会では男女を問わずハグ(hug,抱擁)するのが伝統的な挨拶の習慣ですが,どうも最近は近代化したせいか,ハグの量が極端に減っているようです。

2016年に伊勢志摩で行なわれる,G8( ”Group of Eight” の略,仏,米,英,独,日,伊,加,露)のサミット(頂上の意,主要先進国首脳会議)では,各首脳は握手ではなくて,しっかりハグしあって信頼感を高めてから,会議を始めてほしいものです。

いま,
安倍内閣がいかに危険な政権なのか認識がありますか。
特定秘密保護法(2014.12施行)によりマスメディア(新聞,出版,放送など)への有効無形の干渉を強めています。

現在,毎日報道されている安保法制について,国会では,野党の質問に対して,内閣は真剣な議論をする姿勢を見せず,答弁にならない答弁を繰り返しています。
憲法学者の憲法違反という意見にも,平和を願う国民の声にも,まったく耳を傾ける姿勢を見せず,独断専行が目立ちます。

このままでは,適当な時期に審議を打ち切り,数を頼りに強行採決する最悪のシナリオが見えています。

この暴挙を阻止し,違憲法案を廃案にするためにはどうすればいいでしょうか。
それには単に個別に反対のデモをするだけではなしに,安倍首相の尊敬する祖父の岸信介首相のときの「安保反対」運動のように,もっと積極的に「安倍政権を倒せ!」のスローガンで,国民的な反対運動を盛り上げてゆくことしかありません。

みんなで手を携えて,「安保法案反対」「安倍内閣不要」という国民の意志を,デモやマスメディアなどを通じて,ひろく世論に訴えていきましょう。

平和を守るための武力行使」は歴史上ありませんでした。
平和を守るためには,相手を尊重し,粘り強く話し合う外交努力しかありません。

季節の節目

今日この頃は,まさしく季節のかわり目,気温も天気も短い周期で大きく変動しています。
伝統的な年中行事を行なう季節の節目となる日を,節句といいます。

年間に様々な節句が存在していましたが,江戸時代に幕府が公的な行事を行なう日として,五節句を定めました。

漢名        日付  和名    料理
人日(じんじつ) 1月7日 七草の節句 七草粥
上巳(じょうし) 3月3日 桃の節句  菱餅,白酒
端午(たんご)  5月5日 菖蒲の節句 柏餅,菖蒲湯
七夕(しちせき) 7月7日 たなばた  そうめん
重陽(ちょうよう)9月9日 菊の節句  菊酒

おせち(御節)はもともと五節句の祝儀料理すべてをいっていましたが,のちに最も重要とされる人日の節句の正月料理を指すようになりました。

五節句のなかでも桃の節句雛祭りが,もっとも華やかで冬から春へ季節の替り目の感じがひとしおです。

もともとは,5月5日の端午の節句とともに男女の別なく行われていましたが,江戸時代ごろから,豪華な雛人形は女の子に属するものとされ,端午の節句(菖蒲の節句)は「尚武(武事を重んずること)」にかけて男の子の節句とされるようになりました。

ひな祭りは,女子のすこやかな成長を祈る節句の年中行事で,ひなあそびとも言いました。
ひな人形を飾り,桃の花を飾って,白酒寿司などの飲食を楽しみ,雛あられ菱餅を供えます。

最初は儀式的なものではなく「雛あそび」の名前の由来がありましたが,川へ紙で作った人形を流す「流し雛」があり,「災厄よけ」に祀られました。
女子の「人形遊び」=「雛あそび」から節句としての「雛祭り」へとかわってゆき,一生の災厄をこの人形に身代わりさせるという祭礼的な意味合いが強くなり,身分の高い女性の嫁入り道具の一つにもなって,自然と華美になり,より贅沢なものになってゆきました。

ひな人形の種類は,

  • 内裏雛(だいりびな)あるいは親王と親王妃(男雛・女雛)。それぞれ天皇・皇后をあらわします。
  • 三人官女(さんにんかんじょ)宮中に仕える女官をあらわします。内1人はお歯黒・眉なしで既婚者(ないし年長者)です。
  • 五人囃子(ごにんばやし)能のお囃子を奏でる5人の楽人をあらわし,向かって右から,謡(うたい),笛(ふえ),小鼓(こつづみ),大鼓(おおつづみ),そして太鼓(たいこ)の順です。
  • 随身(ずいじん,ずいしん)通称右大臣左大臣で,向かって右が左大臣で年配者,向かって左が右大臣で若者で,いずれも武官の姿です。

ここでよく問題になるのが,男雛・女雛の並び方ですが,
現在,男雛を右(向かって左)に配置する家庭が多く,それが一般的になっており,結婚式の新郎新婦もそれに倣っています。

ところが,日本の伝統では「」が上の位でした。
ですから,男雛も左大臣も左側,つまり向かって右に居るのが正式でした。

京雛では伝統的な並びで,関東雛と男雛と女雛の並ぶ位置は逆となっています。
ちなみに飾り物や紫宸殿(ししんでん,儀式が行われる正殿)の植栽でも,「左近の桜」「右近の橘」は,桜が左側(向かって右)にあります。

明治天皇の時代までは左が高位という伝統があったため帝は左に立ちましたが,文明開化により西欧の並びに合わせて,大正天皇以降は右に立たれています。

祭りの日が終った後も雛人形を片付けずにいると結婚が遅れるという話は昭和初期に作られた俗説とされており,旧暦の場合,梅雨が間近なので,早く片付けないと人形や絹製の細工物に虫喰いやカビが生えるから,というのが理由だとされています。

また,地域によっては「おひな様は春の飾りもの,季節の節できちんと片付ける,というけじめを持たずにだらしなくしていると嫁の貰い手も現れない」という,躾の意味から言われています。

この時季の歌としては,なんといっても最もなじみのあるのがこの曲です。

うれしいひな祭り山野三郎・作詞 河村光陽・作曲(1936)

あかりをつけましょ ぼんぼりに
お花を上げましょ 桃の花
五人ばやしの 笛太鼓
今日はたのしい ひな祭り

お内裏様と おひな様
二人ならんで すまし顔
お嫁にいらした 姉(ねえ)様に
よく似た官女の 白い顔

金のびょうぶに うつる灯を
かすかにゆする 春の風
すこし白酒 めされたか
あかいお顔の 右大臣

着物をきかえて 帯しめて
今日はわたしも はれ姿
春のやよいの このよき日
なによりうれしい ひな祭り

サトウハチロー(03-73)は東京出身の詩人・童謡作詞家・作家,山野三郎は数ある変名の一つ,作家の佐藤愛子は異母妹。
愛子さんは若いころは美形で遠藤周作などの憧れの存在だったらしいのですが,乱暴者の兄ハチローを嫌っており,その理由として「やっぱり兄妹どこか似ている」といわれるのが我慢できなかったそうです。
代表作は「リンゴの唄」「長崎の鐘」「お山の杉の子」「かわいいかくれんぼ」「おかあさん」など。

河村光陽(97-46)は福岡出身の作曲家,本名は直則,代表作は「グッドバイ」「かもめの水兵さん」など。

この「うれしいひな祭り」には正しくない表現が含まれており,サトウハチロー本人も気にしていたと言います。具体的には,男雛女雛を「お内裏様とお雛様」と呼ぶのはこの歌から広まった誤用で,また右大臣を「赤い顔」としているのも誤りです。

でも,いいじゃありませんか。こんなにみんなに親しまれ歌われて,やっぱり名曲だからです。
間違いは間違いとして正しく説明すれば,認識が深まってより良く後世に伝わるでしょう。

梅の花がかおると

東風(こち)吹かば にほひおこせよ 梅の花
主(あるじ)なしとて 春な忘れそ

これは菅原道真が京を去るときに詠んだ,あまりにも有名な和歌です。
最後は「春を忘るな」(拾遺和歌集)が初出ですが,古典の時間に「な・そ」で禁止の意味を強めると習ったことを思い出してその形で記しました。(これは正式には係り結びとは呼ばないそうです)

は,早春,葉に先だって開く花は,5弁で香気が高く,平安時代以降,とくに香をめで,詩歌に詠まれました。
たんに「」といえば「」を指しましたが,平安後期以降は「」を指すことに変っていきました。

菅原道真(845-903)は,平安時代の学者・漢詩人・政治家で,右大臣まで昇りましたが,左大臣・藤原時平に讒訴(ざんそ,他人をおとしいれるため目上の人にありもしないことを告げること)され,大宰府権師(ごんのそち)として左遷され,現地で亡くなりました。
死後,天変地異が多発し,道真の祟りと怖れられ,その怨霊を鎮めるために,京都の北野に北野天満宮が建てられました。
その後,「天神様」として天神信仰が全国に広まり,もともと学者だったことから,「学問の神」として信仰されることになりました。

その梅が,京の都から一晩にして道真の住む屋敷の庭へ飛んできたという「飛梅」伝説も有名です。

道真(菅家)の「古今和歌集」の歌は,小倉百人一首の24番にも選ばれています。

このたびは 幣(ぬさ)も取り敢へず 手向山
紅葉の錦 神の随(まにまに)

この度の旅は,あわただしく発ちましたから,幣(ぬさ)の用意もできませんでした。手向山の神よ,このみごとな美しい紅葉の錦を私のささげる幣として,み心のままにお受けください。

ここで,幣(ぬさ)というのは,神主さんがお祓いのとき手にもつ白い紙ですが,この時代のは,色の絹を小さく切ったものだといいます。旅へ行くときはそれを幣袋に入れて,峠でまき,神に無事を祈るのです。

道真は,6月25日に生まれ,2月25日(いずれも旧暦)に亡くなっているので,25日は特別な「天神さん」の日になっています。

2月25日は,京都の北野天満宮梅花祭です。
しかし実際には,梅が咲くにはまだ少し早い時季です。
とくに今年は,気象庁の暖冬という長期予報がヤッパリはずれ,厳しい寒さがつづきましたから,開花は平年よりも遅くなるはずです。(ほんとに長期予報はよく外れますね)

7月25日大阪天満宮天神祭(日本三大祭の一)です。

この道真の失脚事件は,『菅原伝授手習鑑』(すがわらでんじゅてならいかがみ)として,人形浄瑠璃歌舞伎の演目になっています。
江戸時代の1746年,大坂の竹本座で初演,とくに四段目の『寺子屋』は,子供を殺してその首実検でわが子が身代りになっているのを知る,というなんとも恐ろしげな芝居ですが,独立して上演されることも多く,歌舞伎の代表的な狂言の一つになっています。

この季節の歌はこれにしましょうか。

春よこい相馬御風・作詞 弘田龍太郎・作曲

春よ来い 早く来い
あるき始めた みいちゃんが
赤いはなおの ジョジョはいて
おんもへ出たいと 待っている

春よ来い 早く来い
おうちの前の 桃の木の
つぼみもみんな ふくらんで
はよ咲きたいと 待っている

相馬御風(1883-1950)は新潟県出身の詩人・歌人・評論家,早稲田大学卒業,早稲田大学校歌『都の西北』の作詞。

弘田龍太郎(1892-1952)は高知生まれ,小学校は千葉,中学は三重,東京音楽学校(現・東京藝術大学)ピアノ科卒業,「赤い鳥」運動に参加,北原白秋と組んで多くの童謡を作曲,代表作は『鯉のぼり』『浜千鳥』『叱られて』『靴が鳴る』など。

ところで,
2月26日は玉筋魚(いかなご)シンコ(稚魚)漁の解禁日で,阪神地区の家庭の多くでは大きな鍋で炊いて,いわゆるイカナゴ釘煮(くぎに)にして食べます。
これは佃煮の一種で,醤油・みりん・砂糖・生姜などを入れて水分がなくなるまで煮込みます。
炊きあがったイカナゴは茶色く曲がっており,錆びた釘に見えることから「釘煮」と呼ばれるようになりました。

このころは,三寒四温といって,3日寒くなって後4日暖かくなるというような変動を繰り返して春になってゆく季節です。

少し暖かくなったからといって油断せずに,あしたの天気予報をよく聞いて(あしたの予報は当たります)衣装の選択を間違えないようにして,元気で本格的な春をお迎えください。

肉のはなし

毎月29日は「肉の日」だそうです。
語呂合せで,29をニクと読んで肉の日になったということです。

ご存知のように,といえば,西牛東豚が,もう常識になっていますね。
肉ジャガにもカレーライスにも,関西では当然牛肉なのに,関東では豚肉を使うそうです。

関西では551蓬莱の「豚まん」なのに,関東では井村屋の「肉まん」で,〇〇家の「牛どん」がでたときに,関西では「肉どん」というのに,と違和感を持ちました。

そういえば,最後の将軍・第15代徳川慶喜(1837-1913)は薩摩の豚肉が好みで,「豚一(ぶたいち)様」と呼ばれたそうです。「一」は一橋家の出の意味です。
この人,維新の志士たちや幕臣たちのほとんどが早逝しているのに,76歳,大正期まで生きてのびています。

ちなみに,徳川御三家とは尾張・紀州・水戸であり,8代将軍吉宗(紀州家の出)以降に御三卿すなわち,田安・一橋・清水ができました。
慶喜水戸藩主・徳川斉昭の子ですが,一橋家に養子に入り,将軍家を継承しました。

先日,TV番組で,夫が「今夜,肉が食べたい」と連絡すると,妻はどんな料理を出すか,というような他愛のないことをやっていました。

結果,豚肉のしょうが炒め,トリのから揚げ,トンカツなど,ほとんど牛肉料理以外で,1軒だけすき焼きで,その夫は大喜びしていました。
これは妻の確信犯的行動で,健康のため,経済のため,分っていて作ったようです。現代の妻たちも頭が良いですね。

ここで,牛肉豚肉鶏肉の特徴を比較してみましょうか。

牛肉タンパク質脂質,ビタミンB2を多く含んでいます。赤身には鉄や亜鉛,リンなどのミネラルが豊富です。タンパク質は筋肉や血液をつくったり,体内の組織を再生したりするはたらきを持っていますが,体内に摂り入れるだけではなかなかエネルギーに変わりません。そこで活躍するのがビタミンBとミネラルで,代謝を促し,効率良くエネルギーに変えてくれます。太りやすくなるのは動物性脂肪が体内で固まりやすいことが原因です。

豚肉ビタミンB群牛肉の約5倍も含まれています。特に多く含まれるビタミンB1は,脳や中枢神経の働きを活性化させるはたらきがあるため,集中力や記憶力を高め,イライラを抑える効果があります。必須アミノ酸をバランス良く含んでいることも大きな特徴です。そのほか血管を拡張するはたらきもあり,動脈硬化や高血圧の予防に効果的とされるコリンも多く含まれていたりと,何かと健康効果が期待できるのが豚肉です。

鶏肉脂肪が少なく,消化が良いことが利点です。脂肪分が皮の部分だけなので,皮を取り除けば,脂質やコレステロールを抑えられるため,肥満防止に効果があります。必須アミノ酸のひとつであるメチオニンも多く,肝機能の強化や肝臓に脂肪が溜まる脂肪肝の予防効果があります。ビタミンA,ビタミンB6,ナイアシンを多く含んでおり,眼精疲労の緩和,精神安定などの効果が期待されます。また,皮や骨まわりの部位はコラーゲンが豊富で,肌の新陳代謝を促進します。

相撲取りは牛肉豚肉は食べず,鶏肉を食べます。
それは四足は負けを意味するので,二足で立つ鶏を好むのです。

また,かつての陸上競技短距離の王者カール・ルイスは鶏肉しか食べないことで有名でしたが,それはダイエットのためだったようです。

欧米人は肉食中心で進化してきており,腸の長さは肉食動物並みの4mになってきています。大腸ガン潰瘍性大腸炎になりやすく,肉食大国アメリカでは大腸ガンは死亡率の第2位です。

日本人も戦後の欧米化によって肉食中心の生活になりましたが,もともとは野菜や穀類で進化してきたため,欧米人に比べ長めの腸(7m)ですので,日本人が肉食すると,腸が長い分だけ腐敗便を作りやすく,悪玉菌増殖の危険性,増加した動物性脂肪の影響などで大腸ガン潰瘍性大腸炎その他の成人病を引き起こす可能性は他の民族に比べて大きいことになります。

日本は農耕民族で穀物を主食とし,300年前まで玄米菜食でした。675年天武天皇により肉食禁止令が出されて以来,7世紀から19世紀(江戸末期)までの間,原則として肉食は禁止されていました。しかし体が温まるなど薬膳として,あるいは猟師などが密かに食べてはいました。

人間の歯は動物を取ってしとめるキバはなく,草食に適した臼歯があります。

人類が進化する過程で,肉食するようになって,脳細胞が飛躍的に増大して,絶大な思考力を得るようになったという説があります。
しかし,現在,肉食を増やしても,残念ながら脳が増大することはありません。

必要なたんぱく質を摂取するために,肉食は必要ですが,控えめにして,牛肉よりも豚肉や鶏肉を中心にする方が健康維持には良いでしょう。

さて,
寒い冬の歌はこの曲にしましょうか。

ペチカ北原白秋・詞 山田耕筰・曲(1925)「子供の村」

雪のふる夜は たのしいペチカ
ペチカ燃えろよ お話しましょ
むかしむかしよ 燃えろよペチカ

雪のふる夜は たのしいペチカ
ペチカ燃えろよ おもては寒い
栗や栗やと 呼びますペチカ

雪のふる夜は たのしいペチカ
ペチカ燃えろよ じき春来ます
いまにやなぎも 萌えましょペチカ

雪のふる夜は たのしいペチカ
ペチカ燃えろよ 誰だか来ます
お客さまでしょ うれしいペチカ

雪のふる夜は たのしいペチカ
ペチカ燃えろよ お話しましょ
火の粉ぱちぱち はねろよペチカ 

ペチカпечка,pechka)はロシアの暖炉調理装置です。
煙道がめぐらしてあるレンガなどで造った壁面の輻射熱で部屋を暖めます。

ここで,熱の伝わり方を簡単に説明しますと,伝導・対流・輻射の3つの移動方法があります。

熱伝導とは,物質の移動を伴わずに高温側から低温側へ熱が伝わる移動現象です。鍋の取っ手が熱くなるのは,その一例です。

熱対流とは,流体(液体,気体)内の加熱された部分は膨張し密度が小さくなって上昇し,そこへ周囲の低温の流体が流入して行われる熱移動です。鍋で湯を沸かすと,液体の熱移動が見られます。

熱輻射(ふくしゃ,放射)とは,高温の固体表面から低温の固体表面に,その間の気体の存在に関係なく,直接に電磁波の形で伝わる熱移動をいいます。太陽からの熱の伝わり方がその例です。

輻射型の暖房装置には,中国にかん),朝鮮はオンドル(温突)という伝統的な床暖房がありました。
これは台所のかまどで煮炊きしたときに発生する煙を居住空間の床下に通し,床を暖めることによって部屋全体をも暖める設備です。

日本でこのような本格的な暖房システムが普及しなかったのは,比較的温暖な気候のせいでしょう。

田舎ではいろり(囲炉裏)という調理・暖房器がありました。

温暖地ではせいぜい火鉢という局所暖房器でしょうか。
しかし,火鉢に入れた炭火五徳(ごとく)の上で鉄瓶がチンチンと鳴っている様には風情がありました。
また,五徳に金網をのせて,餅ないしオカキをじっくり焼きあげるのは,味わい深いものがありました。

春までもう少し,インフルエンザなどに罹らず,元気にお過ごしください。

年の始めの

年の始めのためしとて」は,唱歌「一月一日」の歌い出しで,「ためし」は「」で,決して「試し」ではありません。
年始の先例のように」というような意味です。

元旦(元日の朝)には,お屠蘇(とそ)を飲み,それぞれのお国柄の雑煮おせち料理をたべて,新年の祝儀をおこないます。

厚い新聞が届きますが,正月の新聞は読みごたえがないですね。

ほどなくとどく年賀状は,いっとき,虚礼廃止だとか,メールで済ます,などですたれた感がありましたが,年に一度の安否確認の意味もあって,なくならずに続いています。

正月が困るのは,スポーツジムも休館だし,テニスコートも開いてないし,初詣に出かけるにも混んでいるし,TV番組も似たようなものばかりで飽きるし,身体を持て余すことです。

唯一といっていいTVの楽しみは,オーストリアのウィーンから生でとどけられる,ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の「ニュー・イヤー・コンサート」でしょうか。
現在では世界の40ヵ国以上に生中継されています。
ちなみに,オーストリアと日本の時差は8時間,日本が進んでいます。

会場はウィーン楽友教会(Wiener Musikverein,ヴィーナー・ムジークフェライン)の大ホールで,ホール内部の絢爛豪華な装飾とともに,その音響の素晴らしさから通称「黄金のホール」と呼ばれています。

演奏会は,マチネ(昼間の興行)のため,演奏者は燕尾服やタキシードではなく,フロックコートかモーニング,略式でもズボンはグレーの縞物です。

演目はおもにワルツポルカです。
このウィンナ・ワルツと呼ばれるクイック・ワルツは独特で,3拍子が均等間隔ではなく,2拍目がひっかかり気味に演奏され,ウィーン生まれでなければこのリズム感がとれない,などと言われたりしています。

この伝統あるコンサートでは,アンコールとして,ヨハン・シュトラウスⅡの「美しく青きドナウ」,そして最後にヨハン・シュトラウスⅠの「ラデツキー行進曲」を演奏するのがならわしとなっています。

美しく青きドナウ」の冒頭が演奏されると一旦拍手が起こり演奏を中断,指揮者およびウィーン・フィルからの新年のあいさつがあり,再び最初から演奏を始めるのもならわしです。

新年の挨拶はその年の指揮者により色々な趣向で行なわれます。
たとえば,2002年のコンサートではウィーン・フィルの楽員に縁のある国の言葉で新年の挨拶を述べるという形で行なわれ,日本語のあいさつはコンサート・マスターが日本語で(妻が日本人),指揮者の小澤征爾が中国語(満洲生まれ)であいさつしました。

最後の最後の「ラデツキー行進曲」では,小太鼓が高らかに打ち鳴らされると,観客はもう待ってましたとノリノリで手拍子で参加します。

指揮者が誰になるのかも,注目ですが,今年2015年はズービンメータが5回目の登場でした。

ズービン・メータ(1936-)さんは,インドの出身,われわれの記憶に新しいのは,
2011年3月,フィレンツェ歌劇団を率いて来日しましたが,東日本大震災に遭遇,福島原発事故の影響を危惧するフィレンツェ市長の帰国命令によって日程半ばで中止となりました。
「日本の友人たちのために何も演奏できずに去るのは悲しい」と涙しました。
2011年4月10日,多くの外国人演奏家の来日キャンセルが続くなか,東京のオペラの森公演でベートーヴェンの「第九」(管弦楽はNHK交響楽団)を渾身の演奏し,観客は熱狂的に迎え,収益は全額寄付されるチャリティコンサートでした。

2002年の指揮者は小澤征爾(1935-)さんでした。
観客席には元モデルの妻,俳優の息子たちの顔が見えました。

観客といえば,以前,久米宏「ニュース・ステーション」で夜桜中継をしていた元銀行員の姿を何度も目にしました。

一度は生で見てみたい聴いてみたいという願望はありますが,なにせ,日本からの観劇ツアーがありますが,なんと,お一人様120万円(!)からの費用では,おいそれとは行けません。
ネットから自分で座席を確保できますから,ホテルも自分で予約して,格安航空券を利用すれば,何分の一かの費用で可能なはずです。

美しく青きドナウ」(An der schönen blauen Donau)は,1866年の普墺戦争(プロイセン王国とオーストリア帝国との戦争)で大敗し,失望の底に沈んだウィーン市民を慰めるために,ヨハン・シュトラウスⅡ(1825-1899)が1867年に最初,男声合唱曲として作曲しましたが,不評のため,管弦楽曲に書き直されて,人気が出ました。オーストリアの第2の国歌といわれています。

やはり年頭は,2012年ニューイヤーコンサートでのマリス・ヤンソンス指揮の「美しく青きドナウ」にしましょう。
ヤンソンス(1943-,ラトビア)は来年2016年の指揮者にも予定されています(3回目)。

実際の観劇では見られない(と思います)バレエがTVでは見られるのが良いところですね。
この2012年は特にバレエに趣向が凝らされており,上記の踊りの舞台もベルヴェデーレ宮殿ですが,そこの絵画館に所蔵されているクリムトの「接吻」のまえで,絵から抜け出たように踊るバレエ・シーンもありました。(バレエはウィーン国立バレエ団)

さて,
松の内」とは,正月の松飾がある間の称ですが,関西では昔ながらに15日までですが,関東では7日までと短縮されています。

また,
1月7日には,正月のごちそうに疲れ気味の胃を休めるために,春の七草を入れて炊いた七草粥(ななくさがゆ)を食べる習慣があります。
ところで春の七草は,つぎの和歌で覚えます。

せり・なずな ごぎょう・はこべら
ほとけのざ すずな・すずしろ
これぞ七草

ここに,
「なずな」はペンペン草
「ごぎょう」はハハコグザ
「はこべら」はハコベ
「ほとけのざ」はコオニタビラコ
「すずな」は蕪(かぶ)
「すずしろ」は大根

さらに,
1月8日は初薬師
1月10日は十日恵比寿(えべっさん)
1月14日は四天王寺どやどや
1月18日は初観音
1月21日は初弘法(初大師)
1月24日は初地蔵若草山山焼き
1月25日は初天神
1月28日は初不動

と「初」の付く行事がめじろ押し,1月は寒いのに,何かと心急き(こころぜき)な時節なのです。
風邪など引かないよう,元気にお過ごしください。

食通の時代?

食欲の秋」とは,秋は旬の食材が多く食欲が大いにそそられ,食べる楽しみこそが秋の醍醐味だ,というような言葉で,「味覚の秋」とも言います。 

フランス語のグルメ(gourmet)は「食通」の意味で,グルマン(gourmand)は「健啖家・大食漢」のことです。

最近,テレビでも自称「食通」の人たちが大勢登場して,何が美味しい,だとか,ここがお勧めとか,いささか,それこそ食傷気味です。

ミシュラン(Michelin)はフランスのタイヤ・メーカーで,世界で初めてラジアルタイヤを製品化し,2005年にブリヂストンに抜かれるまで世界最大のタイヤ・メーカーでした。

そのミシュランがタイヤの売り上げを伸ばすために,道路地図旅行ガイドブック(グリーン・ミシュラン)そしてレストラン・ホテルガイドブック(レッド・ミシュラン)をつくり,評価を星の数で格付けして,いまや世界で年間100万部を発行しています。

そのミシュランガイドも近年ヨーロッパでは影響力が低下してきて,新しい市場としてアメリカや日本で積極的に展開してきています。

現在,日本では,「東京・横浜・湘南」編と「関西」編の2種類が発行されています。

三ツ星レストランともなれば,1人で数万円は下らないので,庶民が気軽に行けるような店ではありません。

かたや日本は大阪が生んだ回転寿司は,安くて早くて,それこそ手軽に利用できる庶民の店です。

先日,昼食時にあるチェーン店に入りました。店は混んでいて,私の隣にお腹のせり出した中高年の男性があとから座りました。すると10分もしないうちに,勘定するではありませんか。見るとはなしに見ると,なんと既に11皿が積み上がっているではありませんか!
ちょっとちょっと!あまりに早食いで食い過ぎです!

早食いをすると,満腹中枢が刺激されて食欲にブレーキがかかる前に,食べ過ぎてしまいます。血糖値が急上昇し,インスリンが糖を脂肪に変えるため,それがカラダに蓄積し,肥満を加速させます。

やはり食事は頭でしなければなりません。
人体に必要な栄養源はすべて口から入ります。
バランスの良い食事をするのが健康の基本です。

つぎは食べ方の問題です。

ある日本人が英国に留学していて,親しいイギリス人と食事を共にしているとき,その人は食べやすいようにと,ステーキを先にナイフで刻んで,右手にフォークを持ち替えて食べていました。
すると友人のイギリス人は「そんなアメリカ人のような下品な食べ方はイギリスではやめた方が良い」と忠告してくれた,というのです。

そのイギリス人も一目置くのが,グルメの国フランスです。

そのフランス人たちと数か月間毎日一緒に昼食をする機会がありました
職場のレストランでの昼食とはいえ,かなりたくさんのバリエーションがあり,デザートまで注文できました。
フランス人たちは食事を楽しむんですね。
毎日同じ人と顔を合わせながら,なにをこんなに話すことがあるのだろうと思うくらい,よくしゃべります。
ところが,そんなにしゃべりながら,食事はドンドン片付いていくのです。
しかし,口から,食べ物が見えたりは決してしません。
いつ飲み込んでいるんだろうと不思議に思いました。
なにせ,食事だけに集中している私がいつも食べ遅れるのです。
フォークやナイフの使い方もみんな上手で,格好よかったですね。

一つはっきりしていることは,彼らは料理をかなり細かく切って小片にして口に入れます。だから,早く呑み込めるし,口の周りも汚れないし,第一,食べ方が上品に見えます。

TV番組を見ていても,みなさん切り方が大きいですね。
大きく口をあけてパクリと入れて,長いことモグモグと咀嚼していますね。
うどんやソバの影響で,パスタなど思わず音をたてて吸込んでしまうことがありますが,西洋では完璧なマナー違反です。

日本人なら,まずは箸の持ち方使い方でしょうか。
よくグルメ番組に出てくる中高年のタレントで,押し出しの良い人がいますが,箸の持ち方がへんで,コメントに説得力がなくなります。
日本人の基本的な教養として箸ぐらいはちゃんと使えるようにしましょう。

だいたいが,美味いものばかりを外食していると,健康に良くないことが多いです。
健康食を売り物にしている店を除いて,おいしいものを作るのに,それが身体に良いかどうかなど,考慮の外です。

TV番組などで,料理を評価するのに,「おいしい!」「やわらかい!」「ジューシー!」の三つが,語彙の貧弱なタレントの決まり文句のようです。

がいして,柔らかいものばかりを食べていると,余り噛まないので,唾液が十分に分泌されず,内臓の消化吸収に負担をかけ,また口内に雑菌が増えて虫歯歯肉炎になりやすくなります。

よく噛むことで,脳内に流れる血流量が増え,脳が刺激されます。

日本古来の,雑穀・いも類・根菜類・乾物などの硬い食材をしっかりとって,よく噛んで食事することが健康につながります。

これらこそが,ユネスコ無形文化遺産にも登録された「和食 日本人の伝統的な食文化」の原点です。

食欲の秋には,こんな楽しい歌はどうでしょうか。

おなかのへるうた阪田寛夫・作詞 大中恩・作曲(1964)

どうしておなかがへるのかな
けんかをするとへるのかな
なかよししててもへるもんな
かあちゃん かあちゃん
おなかとせなかがくっつくぞ

どうしておなかがへるのかな
おやつをたべないとへるのかな
いくらたべてもへるもんな
かあちゃん かあちゃん
おなかとせなかかくっつくぞ

阪田寛夫(1925-2005)さんは大阪市生まれの詩人・小説家・児童文学作家,元宝塚歌劇団の花組男役トップスターの大浦みずきは次女,大中恩は従兄弟です。東京帝国大学文学部卒。代表作は,小説『土の器』芥川賞,子供の歌『サッちゃん』など多数。

大中恩(1924-)さんは東京生まれの作曲家,父は『椰子の実』の作曲者の大中寅二です。東京音楽学校(現東京藝術大学)作曲科卒。代表作は「いぬのおまわりさん」「サッちゃん」など子供の歌,合唱曲など多数。

お腹の減ったときに食べる食事が一番おいしい料理となります。
そうすると,料理をおいしく頂くためには,適当な運動をするとその後の食事がおいしくなりますね。
だから「スポーツの秋」は「食欲の秋」につながります。

ただし,食間が空きすぎて,お腹が減りすぎると,身体の免疫力が低下すると言われていますから,あまり長時間空腹でいることは避けましょう。

バランスの良い旬の食材をつかった歯ごたえのある,塩分控えめの日本の伝統的な料理を控えめに取ることが健康に良いですね。

みなさんも良く考えて食欲の秋を満喫してください。