しあわせと平和

学生時代,先生たちと飲食・雑談をしたとき,「しあわせとはどんなときに思うか」という話題で,加山雄三が歌う『君といつまでも(65)』のように,鼻をこすりながら(これは羞恥心の表現か)「しあわせだなぁ」などとつぶやくようなことは実際なく,「不幸と思わない今のような状態のときをいうのではないか」というような展開になったと思います。

しかし,程なく,その先生方が相次いで重病となり,そして亡くなり,やはりそのときが実感はせずとも,しあわせのひとときであったのか,と思ったものでした。

しあわせ」よりもっと自覚しにくいのが「平和」でしょう。
平和な状態でもしあわせと感じない人たちがたくさんいるのも現実です。

その一つが,しあわせの訳語に fortune もあり,これは「」をも意味し,お金がなければ幸福とは思えない,ということでもあるわけでしょうか。

しかし「peace(平和)」の対義語は「war(戦争)」です。
戦争の状態で,しあわせと感じるのは,武器を売ってもうける商人ぐらいのものです。

しかし,防衛装備庁という,自衛隊の武器を調達する組織を政府が作りました(2015)。
かつて,言葉だけでも「非核三原則(67)」があり,「持たず,作らず,持ち込ませず」というのがありました。

それどころか,防衛省(2007に庁から省へ昇格,第一次安倍内閣)は2015から軍事研究に対して,大学等の研究機関に,軍学共同研究として助成金を支給する安全保障技術研究推進制度を開始し,2017の予算では前年のなんと18倍の110億円に急増しました。
日本学術会議はこれに強く反対の意を示しています。

以前,『戦争を知らない子供たち(70)』という歌がありましたが,当時,総人口に占める割合が,1/4という試算があり,それが2009年には2/3になったというデータがありました。
現在は,もちろん,それ以上で,現在の内閣では,首相をはじめ 全員,知らない世代ばかりではないですか。

いま話題の朝ドラ『ひよっこ』の主人公「みね子」の伯父「宗男(44歳)」(1966)がいつも笑っている訳を問われ,先の大戦で陸軍でビルマ戦線に送られ,インパール作戦でイギリス軍と対峙し,ある夜,斥侯を命じられ,そこで若いイギリス兵と鉢合せし,相手は笑顔で立ち去ったことで,その時笑えなかった自分を悔しいと思い,以後,笑って暮らすことを信条にしている,と言うのです。
このインパール作戦(1944)というのは,多くの犠牲者を出して歴史的な敗北を喫し,無謀な作戦の代名詞として今も引用されるほどの過酷な戦争で,その生き残りの話は,実に生の反戦へのメッセージでした。
しかし,今の指導者たちはこんなドラマ見ていないだろうな。

しかし,今後,平和が崩れた時に,「あのとき平和しあわせだったんだなぁ」などと思い返すような時が訪れないように,いま真剣に平和を持続させる道を選択しなくてはならないのです。

それにしても,今の安倍内閣の一連の政治行動を見ていると,平和を希求するのではなく,反対に実に好戦的で,危険に過ぎます。

先の東京都議会選挙(17.7.2)で,自民党は歴史的な大敗をし,現有57議席が23議席と半数以下になりました。

都議選は過去何度か,直後にあった国政選挙の「先行指標」となってきました。1993年の都議選直後の総選挙では「日本新党」が躍進して自民党政権が崩壊し,2009年の総選挙では民主党(当時)が政権交代を果たしました。

国民のみなさんの冷静な,平和を望む思いが実現しますように,願うばかりです。

こんな歌をご存知ですか。

しゃれこうべと大砲』といいます。
イタリア映画『越境者』(1950)の主題歌として使われました。

【訳詞】東大音感合唱研究会
【作曲】シシリー島民謡

1.大砲の上にしゃれこうべが
  うつろな目をひらいていた
  しゃれこうべが
  ラララ言うことにゃ
  鐘の音も聞かずに死んだ

2.雨に打たれ風にさらされて
  空の果てをにらんでいた
  しゃれこうべが
  ラララ言うことにゃ
  お袋にも会わずに死んだ

3.春がきても夏が過ぎても
  誰も花を手向けてくれぬ
  しゃれこうべが
  ラララ言うことにゃ
  人の愛も知らずに死んだ

くらい歌ですが,反戦歌です。ダークダックスが歌っているのを聞いたことがあります。

しあわせって何だっけ何だっけ」というCMソングがありましたね。明石家さんまが歌って話題になりました。

健全なる精神は健全なる身体に宿る

という有名な言葉は,ローマの詩人ユウェナリスの「風刺詩集」にあり,ラテン語で書かれています。

しかし,健康体でなくても,健全な精神は持てる,とおっしゃるお医者さんがいました。言われれば確かにそうです。

でも,健康は大切です。
健康を損なってから,あのときは健康で良かった,と思うようなことがないようにだけはしたいものです。

これから厳しい季節がしばらく続きますが,賢く過ごしたいものですね。