有終の美

昔から,終わりよければ全てよしAll’s Well That Ends Well)と言いますが,もとはシェイクスピアの戯曲です。

スポーツ界では,名選手が引退しました。

2015.12.16,女子サッカーの澤穂希(1978-)選手が,現役引退を表明しました。
1993,15歳で日本代表に選ばれ,2015まで,FIFA女子ワールドカップ6回出場(ギネス記録),国際Aマッチ通算83得点,2011ワールドカップ(ドイツ大会)では優勝し,得点王,MVPに選ばれたのは我々の記憶に新しいできごとです。
日本の女子サッカー黎明期に22年間も先頭を走ってきた中心選手です。

2015.12.27,全日本女子サッカー選手権大会(皇后杯)の決勝戦で,アルビレックス新潟レディースINAC神戸レオネッサが対戦し,後半,INAC川澄が蹴ったコーナーキックに,がヘディングで合わせ,決勝点をあげました。
文字通り,有終の美を飾りました。

2015.9.30,プロ野球・中日ドラゴンズ山本昌広(1965-)投手は引退を発表しました。
1983,ドラフト5位指名を受け入団,当初は芽が出ませんでしたが,3年目のシーズンに初登板,5年目で初勝利,実働年数29年(在籍32年)で219勝,41歳25日でノーヒットノーラン,49歳1ヵ月5日で先発勝利,50歳57日で先発登板,など数々の年長記録があります。
それで,水島新司『野球狂の詩』の東京メッツの岩田鉄五郎を思い出しました。マンガだけの世界かと思っていたのに,50歳まで現役を続けた選手が実在しました。

ところで,
視覚障害者を助ける盲導犬にも引退の時期があります。
2歳から10歳まで8年間,盲導犬として活躍し,その後引退して,盲導犬引退ボランティアの新しい家庭で,一般の家庭犬のように,のんびりと余生を過ごします。
しっかりと躾をされた優秀な犬なので,飼いやすいですが,飼い主には,最後を看取るという大切な役目があります。

さて,
盲導犬を育てるのには,いろいろな過程があります。

現在,犬種はラブラドール・レトリバーがほとんどで,ゴールデン・レトリバーやそれらの雑種もいます。

まず,
母犬は,繁殖犬飼育ボランティアの家庭で出産,生まれた時には300~400g程度の赤ちゃんが,たった2ヵ月で4~5kgになり,1才で立派な成犬になるのです。
1回の出産で,子犬は平均6頭,母犬は授乳からトイレの処理まで,1人で世話します。もちろん,ボランティアさんがお手伝いをしますが,6人の赤ちゃんの世話なんて,人間の母親には想像ができないでしょう。

子犬は約1ヵ月で離乳,そのご2ヵ月間,母犬や兄妹犬と一緒に過ごし,たくさん遊びやけんかをすることで他人(他犬)との接触の仕方を学ぶ上で非常に重要な時期なのです。

2ヵ月から1才までは,パピーウォーカー子犬飼育ボランティア)宅に預けられます。人間の家族の一員として,「人間社会」をより深く経験してもらうためです。社会マナー(しつけ)を意識しながら,家族の一員として,愛情をたっぷり注いで育てるのが基本です。

1才から2才までは,犬舎での生活と訓練の日々です。
子犬たちが盲導犬になれる割合は30~40%ぐらいで,あとの60~70%は,一般の家庭でペットとして犬生を過ごします。

2才~10才まで,盲導犬ユーザー(視覚障害者)と一緒に生活します。
犬の10才は人間でいうと60才ぐらいに相当し,まだまだ元気ですが,元気なうちに引退させ,リタイア犬ボランティアとの生活をスタートさせます。
盲導犬の平均寿命は12才12ヵ月,ペット犬と比べて決して短くはありません。

みなさんも,パピーウォーカー盲導犬引退ボランティアになれますので,興味があれば,盲導犬協会に問合せてみてください。

みなさん, 自分で犬や猫など,ペットを飼おうとするとき,どうしていますか?

ペットショップで子犬・子猫を絶対に買ってはいけません!
と声を大にして主張している人たちがたくさんいます。

理由その1:感染症・てんかん・内臓障害・骨格障害を待っている可能性が高い

理由その2:生後1ヵ月足らずで母犬から離された子犬は,精神的に不安定,脳が未発達なので,その後の生活で問題行動を起こす確率が異常に高い

理由その3:犬や猫を「物扱い」するペットショップは要らない
たとえば,ペット先進国のイギリスでは,生体販売は行われていません。ペットショップにはグッズしか置いていません。

理由その4:大供給化された生体を生み続ける母犬は悲惨な状態にいる
狭いケージに幽閉同然,散歩にも出してもらえない,ひたすら交配と出産を繰り返させられてる,といいます。

良心的なブリーダー(犬を中心とするペットの交配や出産・繁殖を手掛け,流通させる仕事)は,ペットショップにペットを卸さない,といいます。
犬格形成上,大切な幼児期に,1匹づつ隔離された環境は,問題がある,ことを認識しているためです。

どのようにして,
一般の人は,ペットを手に入れれば良いのでしょうか?

まず,良いブリーダーを探すことです。
子犬を買う前に,施設を見学に行く,家族全員(子供も含めて)で。良いブリーダーなら先方から言われるはずです。
施設が清潔で,母犬を含め,飼育されている犬が健康であることを確認してください。
良いブリーダーは「飼い主」を選んで,譲り渡すものです。
したがって,手に入れるためには時間がかかります。

つぎに,動物保護団体から譲り受ける方法があります。
行き場を失った犬猫が毎年12万頭殺処分されているのです。
かわいそうな犬たちの里親になってやってください。
時間もかからないし,なにより費用が無料です。
ペット税をとってもよいので,どうにかして,殺処分をゼロにしてもらいたい,と切に願います。

みなさん,ペットショップへ行かないで,動物保護所へ行きましょう。

今回は,この季節らしいこの曲にしましょう。

冬景色』作詞・作曲者不詳 尋常小学校唱歌(5)1913

さ霧消ゆる湊江の
舟に白し 朝の霜
ただ水鳥の声はして
いまだ覚めず 岸の家

鳥啼きて木に高く
人は畑に麦を踏む
げに小春日の のどけしや
かへり咲きの花も見ゆ

嵐吹きて雲は落ち
時雨降りて日は暮れぬ
若し燈火の漏れ来ずば
それと分かじ 野辺の里

歌詞のなかで「小春日」とありますが,冬なのに春のように暖かいうららかな日,のことを指します。

わが家にも,丈夫でゴンタな猫が一匹いますが,ガラス戸越しに,うららかな陽だまりの中で如何にも気持ち良さげに寝ている様子を眺めていると,こちらもふかふかと心が癒される気がします。

みなさんも,元気に良いお年をお迎えください。