話せる英語

いまや話せる英語,使える英語への要求が半端ないですね。学校教育でも英会話に力を入れていて,基礎となる文法は大丈夫?とつい思ってしまいます。

話せる英語の極端は,車夫英語でしょうか。
明治の文明開化の世になって,いきなり外国人に接する機会が増え,人力車の車夫たちはお客の英語を耳で聞いて,そのまま発音しました。

たとえば,

魬(ハマチ)       How much?   いくら?
赤飯(セキハン)     Shake hand.   握手して
知らんぷり(シランプリ) Sit down, please. 座って下さい
掘った芋(ホッタイモ)  What time?   何時?
揚げ豆腐(アゲトウフ)  I’ll get off.    降ります 
お仕舞いか(オシマイカ) Wash may car.  車を洗って

これが意外に通じるのです。
本を読んで綴り字から学んだのが書生,これを書生英語といってあまり通じなかったのです。

たとえば,
人名で ”Hepburn” では,「ヘボン」といえばヘボン式ローマ字,「ヘップバーン」と発音すると女優のオードリ-・ヘップバーンを指し,前者を車夫英語,後者を書生英語と言ってもいいと思いますが,もちろん,前者の方が通じます。

幕末から明治維新にかけて活躍したジョン万次郎中浜万次郎,1827-98)は,土佐の漁師で,14歳のとき,出漁中に難破して漂流,米国の捕鯨船に助けられ,本土に渡り,船長ホイットフィールドの養子となり,米国で学び,10年後に帰国,薩摩藩や土佐藩,さらに幕府に仕え,のち開成学校(現東京大学)教授となりました。
口語の通訳としては有能でしたが,日本語の学習経験がなかったため,英語の文章を日本語(文語)に訳すのは不得意だったそうです。

万次郎の編纂した英語辞書の発音にも,

こーる   cool
わら    water
さんれぃ  Sunday
にゅうよぅ  New York

などがあるのですが,不思議なことにこれがまたチャンと通じるのです。

さらに,グッとくだけて,深夜番組『タモリ倶楽部』(テレビ朝日系)で,タモリの「誰が言ったか知らないが、言われてみれば確かに聞こえる〈空耳アワー〉のお時間がやってまいりました。」で始まる,まことにふざけたコーナーがあります。
2018.5.12(00:20-00:50)放送,レイ・チャールズの「愛さずにはいられない(I can’t stop loving you)」を流して,映像は
バスタオルをまとって,お風呂から出てきた女性,そのバスタオルをとって,Tシャツを着ると,スマホに非通知の着信が,「拝見したわ,美乳」,ハイケンシタワビニュウ(アイキャンストップラビングユー),だと!
こじつけにも程がある,というものです。

今回の歌は,そのレイ・チャールズに敬意を表して,「わが心のジョージア(Georgia On My Mind)1960」にしましょうか。

Georgia, Georgia
The whole day through
Just an old sweet song
Keeps Georgia on my mind
I’m say Georgia, Georgia
A song of you
Comes as sweet and clear
As moonlight through the pines
Other arms reach out to me
Other eyes smile tenderly
Still in peaceful dreams I see
The road leads back to you
I said Georgia
Oh Georgia, no peace I find
Just an old sweet song
Keeps Georgia on my mind
Other arms reach out to me
Other eyes smile tenderly
Still in
 
レイ・チャールズ(Ray Charles Robinson,1930-2004)は,アメリカ・ジョージア州出身の盲目の黒人歌手・ピアニスト,バック・コーラスを背にピアノを弾きながら熱唱するのがスタイルでした。
20年近く麻薬を常用していましたが,1965年に更生施設に入所し,ヘロインを断つことに成功しました。
1979年にその「わが心のジョージア」が洲歌に定められました。2004年に伝記映画「レイ(Ray)」が公開されましたが,それを見ることなく,その年に肝臓癌で死去しました。
 
長い猛暑の夏もようやく終わりを告げ,
 
 秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞ驚かれぬる
                  藤原敏行(古今和歌集)
 
というような季節になってきました。
こういうとき,夏の疲れが出やすいものです。しっかり食事して,しっかり休養をとって,夏バテした体力を回復させるときでもあります。
気温の急変には気をつけて,元気にお過ごしください。
 

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