食通の時代?

食欲の秋」とは,秋は旬の食材が多く食欲が大いにそそられ,食べる楽しみこそが秋の醍醐味だ,というような言葉で,「味覚の秋」とも言います。 

フランス語のグルメ(gourmet)は「食通」の意味で,グルマン(gourmand)は「健啖家・大食漢」のことです。

最近,テレビでも自称「食通」の人たちが大勢登場して,何が美味しい,だとか,ここがお勧めとか,いささか,それこそ食傷気味です。

ミシュラン(Michelin)はフランスのタイヤ・メーカーで,世界で初めてラジアルタイヤを製品化し,2005年にブリヂストンに抜かれるまで世界最大のタイヤ・メーカーでした。

そのミシュランがタイヤの売り上げを伸ばすために,道路地図旅行ガイドブック(グリーン・ミシュラン)そしてレストラン・ホテルガイドブック(レッド・ミシュラン)をつくり,評価を星の数で格付けして,いまや世界で年間100万部を発行しています。

そのミシュランガイドも近年ヨーロッパでは影響力が低下してきて,新しい市場としてアメリカや日本で積極的に展開してきています。

現在,日本では,「東京・横浜・湘南」編と「関西」編の2種類が発行されています。

三ツ星レストランともなれば,1人で数万円は下らないので,庶民が気軽に行けるような店ではありません。

かたや日本は大阪が生んだ回転寿司は,安くて早くて,それこそ手軽に利用できる庶民の店です。

先日,昼食時にあるチェーン店に入りました。店は混んでいて,私の隣にお腹のせり出した中高年の男性があとから座りました。すると10分もしないうちに,勘定するではありませんか。見るとはなしに見ると,なんと既に11皿が積み上がっているではありませんか!
ちょっとちょっと!あまりに早食いで食い過ぎです!

早食いをすると,満腹中枢が刺激されて食欲にブレーキがかかる前に,食べ過ぎてしまいます。血糖値が急上昇し,インスリンが糖を脂肪に変えるため,それがカラダに蓄積し,肥満を加速させます。

やはり食事は頭でしなければなりません。
人体に必要な栄養源はすべて口から入ります。
バランスの良い食事をするのが健康の基本です。

つぎは食べ方の問題です。

ある日本人が英国に留学していて,親しいイギリス人と食事を共にしているとき,その人は食べやすいようにと,ステーキを先にナイフで刻んで,右手にフォークを持ち替えて食べていました。
すると友人のイギリス人は「そんなアメリカ人のような下品な食べ方はイギリスではやめた方が良い」と忠告してくれた,というのです。

そのイギリス人も一目置くのが,グルメの国フランスです。

そのフランス人たちと数か月間毎日一緒に昼食をする機会がありました
職場のレストランでの昼食とはいえ,かなりたくさんのバリエーションがあり,デザートまで注文できました。
フランス人たちは食事を楽しむんですね。
毎日同じ人と顔を合わせながら,なにをこんなに話すことがあるのだろうと思うくらい,よくしゃべります。
ところが,そんなにしゃべりながら,食事はドンドン片付いていくのです。
しかし,口から,食べ物が見えたりは決してしません。
いつ飲み込んでいるんだろうと不思議に思いました。
なにせ,食事だけに集中している私がいつも食べ遅れるのです。
フォークやナイフの使い方もみんな上手で,格好よかったですね。

一つはっきりしていることは,彼らは料理をかなり細かく切って小片にして口に入れます。だから,早く呑み込めるし,口の周りも汚れないし,第一,食べ方が上品に見えます。

TV番組を見ていても,みなさん切り方が大きいですね。
大きく口をあけてパクリと入れて,長いことモグモグと咀嚼していますね。
うどんやソバの影響で,パスタなど思わず音をたてて吸込んでしまうことがありますが,西洋では完璧なマナー違反です。

日本人なら,まずは箸の持ち方使い方でしょうか。
よくグルメ番組に出てくる中高年のタレントで,押し出しの良い人がいますが,箸の持ち方がへんで,コメントに説得力がなくなります。
日本人の基本的な教養として箸ぐらいはちゃんと使えるようにしましょう。

だいたいが,美味いものばかりを外食していると,健康に良くないことが多いです。
健康食を売り物にしている店を除いて,おいしいものを作るのに,それが身体に良いかどうかなど,考慮の外です。

TV番組などで,料理を評価するのに,「おいしい!」「やわらかい!」「ジューシー!」の三つが,語彙の貧弱なタレントの決まり文句のようです。

がいして,柔らかいものばかりを食べていると,余り噛まないので,唾液が十分に分泌されず,内臓の消化吸収に負担をかけ,また口内に雑菌が増えて虫歯歯肉炎になりやすくなります。

よく噛むことで,脳内に流れる血流量が増え,脳が刺激されます。

日本古来の,雑穀・いも類・根菜類・乾物などの硬い食材をしっかりとって,よく噛んで食事することが健康につながります。

これらこそが,ユネスコ無形文化遺産にも登録された「和食 日本人の伝統的な食文化」の原点です。

食欲の秋には,こんな楽しい歌はどうでしょうか。

おなかのへるうた阪田寛夫・作詞 大中恩・作曲(1964)

どうしておなかがへるのかな
けんかをするとへるのかな
なかよししててもへるもんな
かあちゃん かあちゃん
おなかとせなかがくっつくぞ

どうしておなかがへるのかな
おやつをたべないとへるのかな
いくらたべてもへるもんな
かあちゃん かあちゃん
おなかとせなかかくっつくぞ

阪田寛夫(1925-2005)さんは大阪市生まれの詩人・小説家・児童文学作家,元宝塚歌劇団の花組男役トップスターの大浦みずきは次女,大中恩は従兄弟です。東京帝国大学文学部卒。代表作は,小説『土の器』芥川賞,子供の歌『サッちゃん』など多数。

大中恩(1924-)さんは東京生まれの作曲家,父は『椰子の実』の作曲者の大中寅二です。東京音楽学校(現東京藝術大学)作曲科卒。代表作は「いぬのおまわりさん」「サッちゃん」など子供の歌,合唱曲など多数。

お腹の減ったときに食べる食事が一番おいしい料理となります。
そうすると,料理をおいしく頂くためには,適当な運動をするとその後の食事がおいしくなりますね。
だから「スポーツの秋」は「食欲の秋」につながります。

ただし,食間が空きすぎて,お腹が減りすぎると,身体の免疫力が低下すると言われていますから,あまり長時間空腹でいることは避けましょう。

バランスの良い旬の食材をつかった歯ごたえのある,塩分控えめの日本の伝統的な料理を控えめに取ることが健康に良いですね。

みなさんも良く考えて食欲の秋を満喫してください。

映像芸術の世界

芸術の秋」といいますが,そもそも,芸術とはなんですか?

表現者あるいは表現物と,鑑賞者が相互に作用しあうことなどで,精神的・感覚的な変動をえようとする活動です。

文芸(言語芸術),美術(造形芸術),音楽(音響芸術),演劇・映画(総合芸術)などを指します。

そのなかでも,もっとも大衆的な芸術は,映画といってもいいのではないでしょうか。

古来からの芸術である絵画・彫刻・音楽・文学・舞踏・建築・演劇に肩をならべる新たな芸術として「第八芸術」ないし,舞踏と演劇を区別せずに「第七芸術」とも呼ばれます。
そういえば第七藝術劇場(大阪市淀川区十三)という映画館がありました。

映画は古くは活動写真,戦前はキネマとも呼ばれており,シネマ(cinémaはフランス語で映画の意味ですが,アメリカではアート作品は「シネマ」,娯楽作品は「ムービー」と区別することがあります。

先日,アニメの宮崎駿(はやお,1941-)監督がアカデミー賞名誉賞を受賞しました。

日本人の最初は,1990年の黒澤明(1910-1998)監督でした。
外国でも多くの監督に影響を与え,とくにフランシス・フォード・コッポラ,ジョージ・ルーカス,スティーブン・スピルバーグなどは大いに刺激を受け,映画作りの参考にしました。

黒澤作品はいろいろありますが,代表作はなんといっても『七人の侍』1954年ではないでしょうか。

戦国時代末期(具体的には1586年),野武士の略奪により困窮した百姓に雇われる形で集まった七人の侍が,身分差による不和を乗り越えながら協力して野武士の一団と戦う物語です。

配役は,
智将・勘兵衛         (志村 喬
腕はたつが素性の良くない菊千代三船敏郎
勘兵衛の相棒で補佐役・七郎次 (加東大介
剣の達人・久蔵        (宮口精二
剽軽な薪割り名人・平八    (千秋 実
勘兵衛に惹かれた五郎兵衛   (稲葉義男
村娘とできてしまう若侍・勝四郎木村 功

それぞれの役どころに個性があって魅力的でした。
後に大きな影響力を残すだけあって,西部劇のようなダイナミックなシーンも多く,しかし,それだけではなく,味方同士の武士と農民との葛藤など,心理的な交錯もある,見ごたえのある作品です。
しかし,なにしろ上映時間が3時間半という超大作です。こころして劇場で見ることをお勧めします。

この「七人の侍」をアメリカでリメイクしたのが『荒野の七人』(原題:The Magnificent Seven)1960年です。

舞台を西部開拓時代のメキシコに移して描きました。

配役は,
リーダー格のクリス   ユル・ブリンナー(勘兵衛)
サブリーダー格のヴィン スティーブ・マックイーン(五郎兵衛と七郎次)
最年少のチコ   ホルスト・ブッフホルツ(菊千代と勝四郎)
子供に慕われるベルナルド チャールズ・ブロンソン(平八)
ナイフ投げ達人のブリット ジェームズ・コバーン(久蔵)
山師のハリー     ブラッド・デクスター(一部は七郎次)
凄腕の賞金稼ぎのリー ロバート・ヴォーン(菊千代に近いか)

ユル・ブリンナー(1920-1985)だけは『王様と私』で既に有名な俳優でしたが,ほかの出演者はテレビ俳優といってもよい,まだ売れていない若手の人たちでした。この映画をきっかけに,ほとんどの出演者たちが大スターになっていきました。

スティーブ・マックイーン(1930-1980)はTVドラマ『拳銃無宿』で改造ショットガンをつかう愛嬌のある賞金稼ぎ役でした。
その後,『大脱走』,『ブリット』,『タワーリング・インフェルノ』などに主演しましたが,若くして亡くなりました。

チャールズ・ブロンソン(1921-2003)はTVドラマ『カメラマン・コバック』で肉体派として主演しました。
その後,『レッド・サン』,『さらば友よ』などに男臭い役で主演し,日本の男性化粧品マンダムのCMでも有名になりました。

ロバート・ヴォーン(1932-)はTVドラマ『0011ナポレオン・ソロ』のソロ役で活躍しました。

ジェームズ・コバーン(1928-2002)は長身で痩身でしたが,悪役や個性的なアクション俳優として出演しました。
その後,『電撃フリントGO!GO作戦』などにタフガイ役で主演しました。

ホルスト・ブッフホルツ(1933-2003)はドイツ生まれの国際派俳優でした。

この『荒野の七人』はじつに第4作まで作られました。
しかし,しょせんリメイク作品は,本家の作品には及びませんでした。

秋も深まってきましたが,外国の歌に日本の訳詞で有名なこの曲にしましょうか。

旅愁犬童球渓(いんどう・きゅうけい)・訳詞 オードウェイ(アメリカ)・作曲 「中等教育唱歌集」1907.8
(原曲:Dreaming of Home and Mother)

更け行く秋の夜 旅の空の
わびしき思いに ひとりなやむ
恋しやふるさと なつかし父母
夢路にたどるは 故郷(さと)の家路
更け行く秋の夜 旅の空の
わびしき思いに ひとりなやむ

窓うつ嵐に 夢もやぶれ
遥(はる)けき彼方(かなた)に 心まよう
恋しやふるさと なつかし父母
思いに浮ぶは 杜(もり)のこずえ
窓うつ嵐に 夢もやぶれ
遥けき彼方に 心まよう

 日本語の訳詞で有名な曲はいろいろありますが,昔の詩なので言葉がむずかしいきらいはありますが,歌い続けて残しておきたい名曲です。

閑話休題,
ここにきて安倍内閣は唐突に衆議院を解散しました。
投票日は12月14日,赤穂浪士の討ち入りの日です。

大義名分のない解散といわれています。
支持率の落ちないうちに解散して長期政権への足場固めをしようとする狙いらしいのです。

約束違反は,
国民に消費税を上げるという痛みを与えるのなら,政治家も痛みを分かち合って,国民の権利を平等にする定数是正と,ずさんな使用の多い政治資金の減額を,やると断言しながら,やりませんでした。

忘れてはならないのは,
集団的自衛権の行使」,「特定秘密保護法」,「原発再稼動」の問題は,国として大きな政治的な争点です。

総理当人は,「アベノミクス解散」などと問題点をそらしていますが,選挙で勝ちさえすれば,すべてがチャラになるという,都合のよい「総理救済リセット解散」とでも呼んだ方がピッタリときます。

みなさんも,ごま化されることなく,年末ですが,投票場に足を運んで,しっかりとした判断を示しましょう。
300年余り前,赤穂浪士が決死の覚悟で吉良邸に討ち入ったように,総理官邸に討ち入る覚悟で,投票場に向かいましょう。

灯火親しむの候

秋の夜は涼しく長く,灯火の下で読書するのに適している,そういう時候になりました。
「読書の秋」ともいいますね。

まず古典的な日本文化研究の本を紹介しましょうか。

ルース・ベネディクト著『菊と刀』(原題:The Chrysanthemun and the Sword: Patterns of Japanese Culture)は1946年に出版されました。

ルース・ベネディクト(1887-1948)は米国の女性文化人類学者で,戦時中に,日本へは一度も訪れることなく,日本関連の文献の熟読や日系移民との交流,そして日本映画を見ることのみで,日本文化の研究調査をしたとされています。

もちろん「」は皇室を象徴する花であり,「」は武士の魂として日本人=侍の精神的な支柱とみなされます。

義理などといった日本文化固有の価値を分析し,日本文化を外的な批判を意識する「恥の文化」と決めつけました。

彼女の研究は,戦後の日本に対する占領政策に大いに利用されたと言われています。

先日亡くなった元長崎市長の本島等(92)さんが市長のとき「天皇の戦争責任はあると私は思います」と,自身の軍隊体験なども踏まえ,市議会の答弁で発言されて,賛否の議論をよび,発言に反発した右翼団体幹部に長崎市役所前で銃撃され,重傷を負いましたが,命は取りとめました。

とうぜん,天皇は陸海軍の大元帥として形の上からは日本の最高指導者でしたから,責任がないはずはないのですが,日本国民を統治するために,処分の対象としなかったのは,ベネディクトの研究結果が重要な判断基準になった,と言われています。

しかし,なにをおいても自由な発言を否定するのは,民主主義の基本原理を否定することになります。

つぎは逆に最新の,シンシアリー著『韓国人による沈韓論』扶桑社新書,2014.9.1発行はどうでしょうか。

著者のシンシアリー(SincereLEE,以後「リー氏」)はもちろんペンネームですが,韓国生まれ韓国育ちの生粋の韓国人で,観光以外に外国に行ったことがなく,1970年代の生まれ,というので,40歳前後で,歯科医院をやっているとのことです。
母から日韓併合時代に学んだ日本語を教えられ,子どものころから日本の雑誌やアニメで日本語に親しんで,日本のテレビの録画や雑誌や書籍から,韓国で敵視している日本はどこにも存在しないことを知った,といいます。

英語の ”sincerely” は「誠実に」という意味で,手紙の結びで “Sincerely Yours” あるいは略して “Sincerely” は「敬具」に相当する正式な表現です。

2014年4月16日,韓国フェリー「セウォル(世越)号」が沈没事故を起こしました。
船には,修学旅行の高校生325名,乗組員30人など合計476人が乗っており,事故で,行方不明者を含めて死者が305名という惨事でした。

リー氏は,この事故と韓国社会の構造的問題が酷似している,と言います。
責任感のなさ,法律の機能不全,集団的利己主義などが共通しているそうです。

これは「人災」ではなく「国災」である,と言い切りました。
フェリーには最大積載量の4倍もの貨物が積まれ,過多積載が事故の大きな原因の一つと考えられています。

沈没するセウォル号から真っ先に逃げたのは,船長や航海士など,責任を取るべきに人たちでした。
海運会社の関係者たち,とくにオーナー一族は,召喚に応じず,逃げ出し,姿をくらましまた。

海洋警察や海軍が来ましたが,遅れましたし,対応も下手でした。
もともと韓国では専門家や匠に対する認識が低く,現場には専門知識のある人たち,また現場を指揮できる人がいなかったのです。

すぐに日本の海上保安庁と海上自衛隊が救助を申し入れましたが,韓国は拒否しました。理由は「集団的自衛権の拡大と関連している」と勝手な解釈をしました。

韓国に「責任」という文字がない,誰も責任を取らない社会であるといいます。

セウォル号の違法項目を列挙すると,百貨店サイズになる,といいます。

韓国では,地縁・学縁・血縁が何より大切で,「ウリ(私たち)」と「ナリ(他人)」を鮮明に分けて,区別します。
ウリだけで団結します。

反日」は歴史に根差す問題ではなくて,「反日教」ともいうべき,議論できない感情の人たちで凝り固まっています。

「集団的被害妄想」が蔓延し,「客観性」を受け入れる土壌は培われない,と言います。

リー氏が最も惨憺たる気持ちにおちいったのは,2011年3月11日,日本で東日本大震災が発生したとき,韓国で「韓国バンザイ!」という喜びの叫び声を聞いたのです。
この国は狂っている,と認めざるとえなかった,と述懐しています。

リー氏の「沈韓論」はセウォル号のように韓国は沈没しかけているのにそれを助けるべき船長(指導者)がいないことに,絶望しています。
しかし,彼は逃げ出さずに,沈みゆく船に乗り続けることを選択し,自分のできることを模索しています。

われわれも感情だけのヘイトスピーチ(hate speech,憎悪発言)はやめて,中韓とは主張が異なっても,末永く付き合ってゆかねばなりません。

さて,ここで,松尾芭蕉(1644-1694)の有名な俳句を2句。

物言えば唇寒し秋の風
秋深き隣は何をする人ぞ

つぎは,フランスのヴェルレーヌ(1844-1896)の詩です。
ポール・ヴェルレーヌ落葉上田敏(1874-1916)・訳

秋の日の ヴィオロンの
ためいきの 身にしみて
ひたぶるに うら悲し。

鐘のおとに 胸ふたぎ
色かえて 涙ぐむ
過ぎし日の おもひでや。

げにわれは うらぶれて
こゝかしこ さだめなく
とび散らふ 落葉かな。

日仏の秋の詩を並べてみました。

歌はこの歌にしましょうか。

もずが枯れ木でサトウハチロー・作詞 徳富繁・作曲(1938)

もずが枯れ木で 鳴いている
おいらは藁を たたいてる
綿引き車は おばあさん
コットン 水車も廻ってる

みんな去年と 同じだよ
けんども足んねえ ものがある
あんさの薪割る おとがねえ
バッサリ 薪割るおとがねえ

あんさは満洲へ 行っただよ
鉄砲が涙で 光ってた
もずよ寒いと 泣くがよい
あんさは もっと寒いだろ

とても寂しい歌ですが,戦前につくられました。
このような悲しみは決して今後ないようにしなければなりません。

スポーツの秋です

この時期は秋本番,なにをするにも良い季節です。
秋といえば,スポーツの秋読書の秋芸術の秋食欲の秋などたくさんあります。

まず,スポーツの話題は,
テニス錦織圭(24)選手が,世界ランキングを5位にあげ,ロンドンで11月9日に開幕する年間成績上位8人が争う最終戦,ATPワールドツアー・ファイナルで今季を締めくくります。
1次リーグはB組で,フェデラー(スイス,2位),マリー(英,6位),ラオニッチ(カナダ,8位)と対戦しますが,一抹の不安は,全7選手との対戦成績が17勝14敗と勝ち越しているのに,初戦で対戦するマリーとは0勝3敗で,1度も勝ってないことです。
これも試練ですから,期待して見守りましょう。

ファイナルだけあって,賞金額も破格です。
出場するだけで15万5,000ドル(約1,780万円)が手に入ります。予選リーグは1勝につき同額が稼げます。5戦無敗で優勝すれば207万5,000ドル(2億3,800万円)が手に入る勘定です。

つぎは,フィギュアスケートのGPシリーズの第1戦,スケートアメリカは,米イリノイ州シカゴで10月24日に開幕,男子は町田樹(たつき,24,162cm)が優勝しました。

第2戦のスケートカナダは,ブリティッシュコロンビア州ケロワナで10月31日に開催され,男子は無良崇人(むらたかひと,23,170cm)が優勝,女子は宮原知子(16,145cm)が3位になりました。

第3戦は中国の上海で11月7日から開催され,羽生結弦(ゆづる,19,171cm)が出場します。
第1戦,第2戦と順調に来ているので,良い結果を期待しましょう。

高橋大輔(28)は引退しましたが,男子は後継者がぞくぞく出現してきて頼もしい限りです。
それにひきかえ,女子は村上佳菜子(20,162cm)が伸び悩み,今井遥(21,159cm)や本郷理華(18,166cm)もまだ完成度が低いですから,東京五輪を宮原知子一人に期待するのは荷が重いでしょう。

さて,プロ野球の日本シリーズは,守備妨害で決着するという盛り上がりに欠ける結果となりました。

ドラフト会議(新人選手選択会議)は今年も有力選手をパ・リーグのチームが交渉権を獲得するという皮肉な結果となりました。
ドラフト制度というのは,本来,チームの戦力を均衡化して面白い試合を増やす狙いがあるのに,東京にある1チームだけはドラフト指名を拒否した選手を次年度に獲得するという,野蛮な振る舞いしつづけてチーム力を強化しています。
それをいつまでも許しているという野球機構の組織力のなさが,野球の発展を阻害しています。

セ・パの交流戦も当初,ホーム(地元)3,アウェイ(敵地)3ゲームの6チームで36試合あったのを,ホーム2アウェイ2の24試合に減らし,来年は1チーム3(ホームかアウェイのどちらか)の18試合に減らすそうです。
いつも人気のセ・リーグが大敗するので,ゼロにしますか18にしますか,というような強圧的な二者択一を迫った結果なのです。

嫌になるほどの球団やリーグのエゴ(egoism,利己主義)むき出しに,そうすることで,自分で自分の首を絞めていることに気が付かないのか,と思います。

これは日本だけに限ったことではなくて,本家アメリカのMLBでもよく似た自分勝手をやっていて,これで野球がオリンピックから外されて,世界スポーツになれない大きな理由の一つだと思います。

そして,日本バスケットボール協会も情けないですね。
現在,国内にNBL(12チーム)とbjリーグ(22チーム)の2つのリーグが存在しており,FIBA(国際バスケットボール連盟)から,1国1リーグ制にするように勧告が出されていたのに,期限までに実現できず,ブラジルのリオデジャネイロ・オリンピック予選への出場が危ぶまれています。

情けない残念なことです。

もともと企業チームを中心とするJBL(8チーム)が古くからあり,統一するためにNBLというトップリーグを立ち上げましたが,企業名を残したいJBLからの参加者に対して,bjリーグが反発して,統一が実現できなかった,という経緯があります。

企業名を前面に出したいプロ野球チームと似た古い体質を残していますね。

そういう意味では,サッカーに後れを取っています。

日本のバスケットボール界から,全米のNBAに巣立とうとする若者が出てきているというのに。

それは富樫勇樹(21,167cm)選手ですが,新潟の出身で,中卒後,米国モントロス・クリスチャン高校に進学,帰国してbjリーグの秋田ノーザンハピネッツに入団,来季からダラス・マーベリックス傘下のDリーグのテキサス・レジェンズでプレイすることになっています。

これまでは田臥勇太(34,173cm)選手が2004年にNBAフェニックス・サンズと契約し,日本人として初めてのNBA選手となりましたが,4試合に出場したのみでした。

富樫選手に期待できるところは,高校時代からアメリカのバスケットボールに慣れており,ポイントガードながら,シュート力があることでしょう。

さらに,面白くないのは,女子ゴルフ大相撲ですね。

日本の女子プロゴルフの賞金ランキングは1位から3位までを韓国勢が独占しています。
それほど韓国の人たちに外貨を稼がせてあげる必要はないと思いますが,日本選手が勝てないですね。
せると弱いですね,日本選手は。逆に,とくに日本人相手にせると強いです,韓国は。

もっと面白くないのは大相撲です。
3人のモンゴル横綱に加えて,さらに逸ノ城という怪物が出現しました。
彼を見ると,50年前の東京オリンピックの柔道・無差別級のヘーシング(オランダ)対神永の試合を思い出します。
圧倒的な体力差で,技が通じずに完敗しました。

相撲は日本古来の神事から来ています。その象徴は,横綱のしめるつなは,紙垂(しで)を付けたしめなわが使われます。

神事祭りの催しであったのが,格闘技に成り下がった感があります。
たとえば,勝負がついた後に行なう,一礼が,負けた悔しさのためか,今やほとんどおざなりになってしまっています。

一度,陥ってしまった状況を改善するのは,並大抵のことではないです。
しかし,これでいいんですか,というのは多くの人たちの気持ちで,関係者は猛反省し,地道な対策を考えなければなければならないのです。

この季節の歌は,外国の曲に日本語の訳詞でなつかしい,この歌にしましょうか。

故郷の空大和田建樹・訳詞 スコットランド民謡

夕空晴れて あきかぜふき
つきかげ落ちて 鈴虫なく
おもえば遠し 故郷の空
ああわが父母(ちちはは) いかにおわす

すみゆく水に 秋萩(はぎ)たれ
玉なす露は すすきにみつ
おもえば似たり 故郷の野辺
ああわが兄弟(はらから) たれと遊ぶ

原曲はいわずとしれた “Comin Through the Rye” です。

「読書の秋」以降はつぎの機会にしましょう。

今は正しく季節の変り目,天気予報をよく聞いて,気温に合った服装をして,風邪などかからないようにしましょう。