こんな川柳をご存知ですか?
ギヨエテとは おれのことかと ゲーテ云ひ
作者の斎藤緑雨(1868-1904)は明治時代の小説家・評論家。
ゲーテ(Goethe)の発音が日本人にとって難しく,「ギョエテ」「ゲョエテ」「ギョーツ」「グーテ」「ゲエテ」など数十種もの表記が存在したといいます。
とくに外国人の人名はむずかしいですね。
その祖国の発音に従う,というのが原則です。
ヘボン式のローマ字表記を考案したヘボンさんと女優のオードリー・ヘップバーンはおなじ名前 “Hepburn” です。
これは,いわゆる「車夫英語」と「書生英語」の違いと言っていいのでしょう。
前者は,耳から聞いたそのままを発音,後者はつづりを見て発音した違いのように思えます。
童話作家のアンデルセン(Andersen)は,デンマーク語ではアナスンとなります。
FとVの発音にこだわる人がいます。
ドイツ語ではそれがVとWになります。
クラシック音楽の世界では保守的な人が多いのか,ワーグナーをヴァーグナー(Wagner)とかたくなに表記する人がいます。
おなじ表記にすると,車のフォルクス・ワーゲンはフォルクス・ヴァーゲン(Volks Wagen)と言わねばなりません。
音楽の都ウィーンもおかしいですよね。
ドイツ風にちゃんというならヴィーン(Wien)だし,英語ではヴィエンナ(Vienna)となります。
楽聖ベートーヴェン(Beethoven)は,ドイツ風に発音すると,ベートホーフェンになります。
さらに,語尾に着目すると,
コンピュータやデータと書くのに,エネルギーには長母音が付きます。
もともとエネルギー(Energie)はドイツ語で,英語ではエナジー(energy)ですが,長母音にはどちらも違和感があります。
というのは,日本の技術語は日本工業規格(JIS)に規定され,語尾の長母音はないのが原則です。
たとえば,モーター・カーはモータ・カとなります。
カー(car)がカでは,かえって分かりづらいような気もしますが,これが日本の技術規格です。
ですから,技術用語としてはエネルギが正しい表記ですが,いまやエネルギーは一般用語になってしまっていますから,立脚点がどこにあるかによって,記述が分れるといっていいでしょう。
ところで,いまや日本は外来語であふれています。
日本語で言った方が分りよいのに,なぜにカタカナ語を使いたがるのでしょうね。
カッコいいとでも思っているのでしょうか。
若いタレントがエム・シー(MC,master of ceremonies)などと言ったりすると,意味を分かって使っているのか,「司会者」と日本語で言う方が万人に分るのに,と思ったりします。
あきらかに間違った使い方もあります(いわゆる和製英語)。
文字盤(キーボード)を見ないで打つことをブラインド・タッチと言ったりしますが,正式には,”touch-typing” と言います。
遊園地の遊具施設で上下左右に走る滑走車をふつう,ジェット・コースターと言っていますが,あれは “roller coaster” です。
レベル・ダウン → level decrease(名詞に副詞は付かない)
アイドル → teenage star,pop star
オフィス・レディ → female office worker
ガソリン・スタンド → gas station(米),petrol station(英)
グレイド・アップ → upgrade
チャッチ・ボール → play catch(チャッチボールをする)
スキン・シップ → (close) physical contact
フライング → false start
シャープ・ペンシル → (automatic) mechanical pencil
ホチキス → stapler
数え上げたらきりがないので,このへんでやめますが,よく使っている英語は和製英語である可能性が高いので,英語として表現するときにはよく調べてからにしてください。
敬老の日の前日の土・日は大阪の岸和田だんじり祭りです。
この日ばかりは岸和田市民は全国から帰郷し,町は祭り一色となります。
『村祭』尋常小学唱歌 作詞・作曲者不詳(1912)
村の鎮守の神様の
今日はめでたい御祭日
ドンドンヒャララ ドンヒャララ
ドンドンヒャララ ドンヒャララ
朝から聞こえる笛太鼓
年も豊年満作で
村は総出の大祭
ドンドンヒャララ ドンヒャララ
ドンドンヒャララ ドンヒャララ
夜までにぎわう宮の森
治まる御代に神様の
めぐみ仰ぐや村祭
ドンドンヒャララ ドンヒャララ
ドンドンヒャララ ドンヒャララ
聞いても心が勇み立つ
歌詞にある通り,聴いても心が勇み立ちますね。
朝晩は秋らしく涼しくなってきました。
風邪などひかないように,そして蚊はまだ存在しますので,デング熱にかからぬよう,気を付けてお過ごしください。