秋のきざし

9月8日の夜は中秋の名月で,十五夜とも言います。

本来,十五夜は満月のことなので年に12回または13回めぐってきますが,とくに旧暦の8月は1年の中で最も空が澄みわたり月が明るく美しいとされていたため,平安時代から観月の宴が催され,江戸時代から収穫祭として広く親しまれるようになり,十五夜といえば旧暦の8月15日をさすようになりました。

9月8日は二十四節気の一つ,白露で,このころから秋気がようやく加わります。

秋来(き)ぬと 目にはさやかに 見えねども
風の音にぞ おどろかれぬる

藤原敏行『古今和歌集』

敏行さんは「風の音で秋の気配を感じて驚いた」と言っていますが,今年の夏は,雨が多すぎて 驚きました。

8月の降雨量はわが国で気象観測(1875)が始まって以来,各地で最高値を示しました。
大阪では8月の猛暑日(最高気温が35℃を超えた日)がゼロで,日照時間が不足して,おかげで涼しい夏となりました。
しかし,そのせいで野菜の生育に異常をきたし,高値がつづいています。
このぶんでは,コメの収穫も不作が予想されます。

8月20日,広島で同時多発的に大規模の土砂災害が発生し,73名もの人が亡くなりました。

1923年9月1日,関東地域にマグニチュード7.9の大地震が発生して(関東大震災),99,000名の人が亡くなりました。
ちょうどこの日は,立春から数えて210日目の二百十日でした。
以降,9月1日は「防災の日」になっています。

1995年1月17日午前5時46分,阪神・淡路大震災が発生し,6,434名の人が亡くなりました。
地元のオリックス・ブルーウェーブは「がんばろうKOBE」を合言葉に,この年パリーグを制覇しました。

広島カープも頑張っていることだし,早く立ち直っていただきたいと思います。

元来,日本は地震・台風・大雨のような自然災害の多い地域です。
被災しても,すぐに立ち直り,おかげで我慢強い民族性が醸成されたのかもしれません。

錦織圭選手(24,178cm)はニューヨークで行われている全米オープン・テニスで,
4回戦はラオニッチ(カナダ,196cm),
準々決勝はワウリンカ(スイス,183cm),
準決勝はジョコビッチ(セルビア,188cm)に全て粘り勝ち,
決勝はチリッチ(クロアチア,198cm)と対戦します。
大男たちを相手に非常に頑張っているじゃありませんか。

この時期は,夜ともなると,虫の鳴く声に一段と秋を感じるものです。

虫のこえ』尋常小学読本唱歌 作詞・作曲者不詳(1910)

あれ松虫が 鳴いている
ちんちろ ちんちろ ちんちろりん
あれ鈴虫も鳴きだした
りんりん りんりん りーんりん
秋の夜長を鳴き通す
ああ おもしろい虫のこえ

きりきりきりきり きりぎりす
がちゃ がちゃ がちゃ がちゃ くつわ虫
あとから馬おい おいついて
ちょんちょん ちょんちょん すいっちょん
秋の夜長を鳴き通す
ああおもしろい虫のこえ

ここで,「きりぎりす」はコオロギのことです。

聞きかじりですが,外国人には虫の声はあまり届かないそうです。
日本人のみが,繊細な虫の音に,秋を感じることができるのです。

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