美しく逞しき日本女性アスリートたち

頭の中で想像していたことと実際が違っていたということは多々あることです。

外国へ行く前になんとなく思っていたこと
1.外国の食事は問題なく食べられる
2.外国人(西欧人)はカッコいい

元来,偏食の方ではないので,なんでも食べられる,と思っていたのですが,やはり外国の食事は美味しくないのです。

長期に滞在していると,無性に日本食が食べたくなりました。
醤油味噌という最高の調味料があれば問題はないのですが。
和食がないところでは,中華で代用させることができます。
中国人は世界のあらゆるところに進出しているので助かります。

カナダ最大の都市トロントチャイナ・タウン(中華街)へ足を踏み入れると,ここはカナダか?と思います。
街の表示は漢字であふれ,音楽はテレサ・テンの歌う耳慣れた,中国語の歌でした。
現地の中国人たちが食べるレストランなので,値段も格安です。

フランスの首都パリの高級和食店では,入口を入ると,日本語で「いらっしゃいませ」と案内されます。
店内は黒い背広を着た日本人たちの日本語であふれています。
ビールはキリンビールがでます。
招待したフランス人は「ここはパリなのか?」と驚いておりました。

パリで,通勤に使う地域高速鉄道(RER)でも,パリ中心街のメトロ(地下鉄)でも,超高速列車TGVの車内でも,シャンゼリゼ通りを歩いても,職場でも,魅力的と思えるマドモアゼルには残念ながらお目にかかりませんでした。

カナダのスポーツジムでは,シャワールームで自然に目に入るのは,細い長い脚とたるんだお腹のカナダ人たちでした。
脚の長いことが必ずしも美的ではないのですね。

やっぱりカッコのいい西欧人というのは映画の中だけの虚構だったのだ,と気づきました。
日本でも,映画では美男・美女が目立ちますもんね。

さて,ここからが本題です。
女子の体操競技で
池田敬子(旧姓:田中,1933-)さんは,1954ローマの世界選手権で平均台金メダルを獲得(日本史上唯一),1964東京オリンピックで団体銅メダル,1966ドルトムントの世界選手権で段違い平行棒銀メダル個人総合銅メダル団体銅メダルと長期にわたり活躍し,日本女子体操の先駆者として,36歳までママさん選手として現役を続け,選手養成にも力をそそがれました。
その池田さんが「お尻の位置がもう一つ上にあったら」と外国選手との体型の違いを嘆いておられました。

女子フィギュアスケートの
伊藤みどり(1966-,145cm)さんは1992年アルベールビル・オリンピックの女子シングルで,世界初となるトリプル・アクセル(3回転半)を飛び,銀メダルを獲得しました。
技術点では最高点を取りましたが,芸術点では低い評価となりました。
技術は高いのに背が低かったり,スタイルが良くなかったりすると不利になるというのは,スポーツとしてはどうかと思います。

いつも思うことですが,スポーツ競技で採点によって結果の出る種目は,審判員の主観に必ず左右されるし,ときには不正が起きやすいので,納得のいかないことも少なくないのです。

しかし,その後の女子フィギュアスケート界はすごいですね。

まず,
荒川静香(1981-,166cm)さんは,2004ドルトムント世界選手権で金メダル,そして2006トリノ・オリンピックでは念願の金メダルを獲得しました。
時の首相は,すぐに祝福の国際電話を掛け,その後フリー演技に使ったプッチーニのオペラ「ツゥーランドット」を席を並べて鑑賞するという,職権乱用,越権行為もしくはパワハラを行い,ヒンシュクを買いました。

つぎに,
安藤美姫(1987-,162cm)さんは,2007東京,2011モスクワの両世界選手権で金メダルを取りました。
天才的なところがあり,反面,気まぐれなところもあって伸び悩みましたが,若いころ,公式戦で4回転を成功させています。

そして,
浅田真央(1990,163cm)さんは,2008ヨーテボリ,2010トリノ,2014さいたまの3回の世界選手権で金メダルを獲得し,2010バンクーバー・オリンピックでは惜しくも銀メダルとなりました。
2014ソチではショートプログラムで大失敗をし,フリーで完璧な演技をして,メダルには届きませんでしたが,感動させました。

荒川・安藤・浅田さんらは,各国の選手と比べても,優るとも劣らない,美しい容姿の持ち主です。

いっぽう,外国の選手を見ても,
クリスティ・ヤマグチ(日系アメリカ人,1971-)は,1992アルベールビル・オリンピックで金メダル,1991ミュンヘン,1992オークランドの両世界選手権で金メダルを取っています。

ミッシェル・クワン(中国系アメリカ人,1980-)は,1996エドモントン,1998ミネアポリス,2000ニース,2001バンクーバ,2003ワシントンDCの5回の世界選手権で金メダルを取りながら,オリンピックでは1998長野銀メダル,2002ソルトレーク銅メダルと結果が出ませんでした。

金妍児(キム・ヨナ,韓国,1990-)は2009ロサンゼルス,2013ロンドンの世界選手権で金メダル,五輪ではバンクーバー金メダルソチ銀メダルでした。
浅田と同年齢でジュニアの時代から競い合い,最終的に競い勝ったといえるのかもしれません。

男子でも
パトリック・チャン(中国系カナダ人,1990-)は2011モスクワ,2012ニース,2013ロンドンの3回の世界選手権で金メダルを取りましたが,2014ソチ五輪では銀メダルに終わりました。

もちろん
羽生結弦(はにゅう・ゆづる,1994-)が2014ソチ金メダルに輝いたのは記憶に新しいことです。

このように,日本を含む東アジアの人々が,このような結果を残しているということは,何か特別な理由があるのか,考察してみるのも面白いかもしれません。

ひとつには,東洋人特有の繊細さが生かされるスポーツなのかもしれません。
また,一つ一つの技術を時間をかけてコツコツ積み重ねて完成度を高めてゆく必要があるので,我慢強い忍耐力が求められ,それらの気質を民族的に有しているのかもしれません。

さて,女子体操やフィギュアスケートに共通する素養はなんでしょうか?

それはバレエです。
スイスのローザンヌ国際バレエコンクールは若手の登竜門として有名ですが,数々の日本人受賞者がいます。

1983 吉田都(1865-)スカラーシップ賞 ロイヤルバレエ団 元プリンシパル
1989 熊川哲也(1972-) 最優秀特別賞 ロイヤルバレエ団 元プリンシパル Kバレエ・カンパニー主宰
2000 鍛冶屋百合子(1984-) スカラーシップ賞 ヒューストン・バレエ団 ファースト・ソリスト
2001 倉永美沙(1987-) プロ研修賞 ボストン・バレエ団 プリンシパル
2012 菅井円加(1994-) プロ研修賞,コンテンポラリー賞1位 ドイツのナショナル・ユース・バレエ団
2014 二山治雄(1996-) スカラーシップ賞1位 サンフランシスコ・バレエ学校・留学予定

そのほか,今年2014年にはアメリカのジャクソン国際バレエコンクールのシニア部門で金賞の加瀬栞(1992-)や,ブルガリアのヴァルナ国際バレエコンクールのシニアとジュニア両部門でも日本人を母とするハーフの人たちが銀賞を取っています。

今後活躍が大いに期待される新進気鋭の菅井円加さんが2012年のローザンヌ国際バレエコンクールのコンテンポラリー部門でグランプリを取ったときの映像です。
現代のバレエはクラシックコンテンポラリ―に分かれており,今やヨーロッパのバレエでは自由な表現が許されるコンテンポラリーに重心が寄っています。

もちろん,バレエ・ダンサーアスリートではありませんが,バレエは身体全体を使った究極の踊りであり,いろいろな踊りやスポーツの原点となっています。

たとえば,
フィギュアスケートでは,スピードを出して滑ってきて,その勢いを利用して4回転しますが,
バレエでは,垂直に自力でジャンプして4回転して降りるダンサーがいくらでもいます。

いずれにせよ,
日本人女性が世界中で美しく,そして健気に活躍する姿を見たり,聞いたりするのは,とてもうれしいことです。

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