日本のスポーツ考

サッカーの2014 FIFAワールドカップ(6.12-7.13)はあっけない結果でしたね。
予選敗退は致し方がないとしても,もう少し楽しめるような内容を期待していました。
日本とブラジル・サンパウロの時差は12時間(もちろん日本が進んでいます),放映時間が早朝にもかかわらず高視聴率でした。

テニスのウィンブルドン選手権(全英オープンテニス)も同時期(6.23-7.6)に開催されています。
こちらは錦織圭(24)が孤軍奮闘,2回戦も快勝,らくらく3回戦に進みました。
日本とイギリスの時差は9時間,いまはサマータイムなので8時間です。
サマータイムの実施期間は国によって異なっており,ヨーロッパでは,3月最終日曜日1時から10月最終日曜日1時まで,7か月の期間です。
センターコート,No.1 コートは 1:00pmから,その他のコートは11:30amスタートです。
男・女シングルスの決勝のみ,2:00pmスタートなので,ライヴで放映するには日本時間10:00pmスタートになります。

ゴルフは松山英樹(22)がメモリアル・トーナメント(オハイオ州ダブリン,5.29-6.1)で早々とPGAツアー初優勝を果たしました。

女子ゴルフでは10代のアマチュア選手の活躍が目覚ましいです。
3月 ヨコハマタイヤPRGR 3位 森田 遥(17)高松中央高
〃    アクサ          4位 柏原明日架(18)宮崎市
4月 KKT杯バンテリン   優勝 勝みなみ(15)鹿児島高
5月 サイバーエージェント   2位 森田 遥
〃            4位 堀 琴音(18)兵庫県G連盟
〃            6位 永井花奈(17)東京日出高
女子ゴルフの将来は明るい,と楽観的に見る人と,ゴルフはプロ・アマの差が少ないスポーツなんだ,と思う人があります。

そして野球は大リーグ(MLB)で日本人投手の活躍が目立ちます。
N・ヤンキーズ  田中将大(25)11勝2敗 ERA 2.11
T・レンジャーズ   ダルビッシュ有(27)7勝4敗 ERA 2.62
B・レッドソックス    上原浩治(39)3勝1敗16S ERA 1.26
S・マリナーズ  岩隈久志(33)5勝4敗 ERA 3.48
N・ヤンキーズ  黒田博樹(39)5勝5敗 ERA 4.23
N・メッツ    松坂大輔(33)3勝2敗1S ERA 3.23
*   ERA(earned run average,防御率)

日本人投手が活躍できる理由として,フォームが整っていて美しいですね,だからコントロールがぶれないし,投球後すぐに守備体勢に入れます。

それにしても日本のプロ野球は面白くないですね。
球団の親会社のエゴが依然として通用しているという,醜悪な世界です。
自民党が地域活性化案として16球団へ増やすプランを提案しましたが,地域振興はそんなに簡単なことではないでしょう。
このままだと,発展するどころか,衰退してゆくのは目に見えています。

サッカーがJリーグを発足させるとき,プロ野球を反面教師としたのか,チーム名に親会社の名前を入れることを避け,地域名を冠し,地域との密着をはかって,成功させました。

大学野球も関心が薄いですね。
東京六大学(早稲田,慶応,明治,法政,東京,立教)や
関西学生野球(関学,関西,京都,近畿,同志社,立命館)は
入替え戦なしで自分たちだけの仲良しクループで活動しているので,切磋琢磨して向上する気配が見えなません。
とくに関西六大学は以前,入替え制をとっていたのに,東京のマネをして,旧態依然としたやり方に変えました。
東大や京大が何10連敗しても至極当然のことで,全く関心が起こりません。

高野連(日本高等学校野球連盟)も鼻息が荒いです。
夏の甲子園(全国高等学校野球選手権大会)は朝日新聞と高野連が,春の選抜(選抜高等学校野球大会)は毎日新聞と高野連が主催し,必要以上に盛り上げています。
プロの投手でも中5日の休養を取って投げさせるのに,まだ身体が完成していない高校生に連日投げる無理を強いています。
これでは将来性のある選手を潰してしまいます。
本当に,夏の猛暑の時期に,全国から50チーム近くを一堂に集めて,短い期間に試合を消化させる必要性があるのか,再検討すべきです。
必要性があると思っているのは,高校野球人気に便乗して利益を上げようとしている人たちだけではないでしょうか。

日本の野球組織は一元化されていないため,サッカーに後れを取りました。

世界を見渡しても,野球はローカルなスポーツです。
熱心に取組んでいるのは,アメリカ,日本,メキシコ,韓国,キューバ,ドミニカ,ベネズエラ,プエルトリコぐらいでしょうか。
世界大会もWBC(World Baseball Classic)ぐらいですが,主催のMLB自体が真面目に取組んでいないので,今一盛上りません。

それに引きかえ,バスケットボールでは NBA コミッショナーのスターンは世界戦略として,バルセロナ五輪(1992)に,プロ選手の派遣を決め,引退していたマジック・ジョンソンラリー・バード,スーパースターのマイケル・ジョーダンらのいわゆる「ドリ-ム・チーム」を結成して,いちやくバスケットボール人気を世界的なものとしました。
おかげでNBAには世界中から選手が集まるようになって活性化しましたが,逆にオリンピックでアメリカが勝てない,という皮肉な結果ともなりました。

日本ではゴルフも国内で選手の養成ができていますが,私の通うスポーツクラブでもゴルフ教室が盛んで,2匹目,3匹目のドジョウをねらう親子連れでにぎわっています。

日本のテニスでは「森田正明テニス・ファンド」(2003)という森田氏の私財を投じた基金で,錦織圭らは,米ニック・ボロテリー・テニスアカデミー(フロリダ州,1972)に留学して実力を養成しました。
テニス人口の多い日本国内にそのような学校を作れないものか,と思うのであります。
テニス・スクールはたくさんありますが,学生アルバイトで賄っているようなところが大半で,本格的なスクールが日本にもほしいものです。

夏のスポーツの歌は何といってもこれで行きましょうか。
栄冠は君に輝く(全国高等学校野球大会の歌)』加賀大介・作詞 古関祐而・作曲(1948)

雲はわき光あふれて 天たかく純白のたまきょうぞ飛ぶ
若人よいざ まなじりは歓呼にこたえ
いさぎよし ほゝえむ希望
あゝ 栄冠は君に輝く

風をうち大地をけりて 悔ゆるなき白熱の力ぞ技ぞ
若人よいざ 一球に一打にかけて
青春の 賛歌をつゞれ
あゝ 栄冠は君に輝く

空をきるたまのいのちに かようもの美しくにおえる健康
若人よいざ みどり濃きしゅろの葉かざす
感激を まぶたにえがけ
あゝ 栄冠は君に輝く

加賀大介(1914-1973)石川県生まれの作詞家,朝日新聞の募集に当時の婚約者(後の妻)の名前で応募して1位になりました。
ご自分は16歳のとき,野球のケガがもとで右足を切断しました。

古関祐而(1909-1989)福島県出身の作曲家。
リムスキー・コルサコフの弟子の金須嘉之進に作曲を師事,山田耕筰の推挙で楽壇に進出,そのごクラシック畑からポピュラー畑に転身。
代表作は
鐘の鳴る丘」(菊田一夫,1947)
長崎の鐘」(サトウハチロー,1949)
君の名は」(菊田一夫,1953)
高原列車は行く」(丘灯至夫,1954)
「大阪タイガースの歌(六甲颪)」(佐藤惣之助,1936)
NHKラジオ「ひるのいこい」テーマ曲(1970)など多数。

音楽番組「オールスター家族対抗歌合戦」(1972-1984)でみせた古関さんの優しい面差しが忘れられません。

日本のスポーツ界もおおいに改善の余地があります。
スポーツ愛好家の一人として,良い方向に進んでもらいたいですね。

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