夏の虫

よく使うことわざに

飛んで火にいる夏の虫

というのがありますが,
明かりにつられて飛んで来た夏の夜の虫が火に触れて焼け死ぬことから,それと気づかずに,また,自ら進んで危険に飛び込むことのたとえ,として使います。

このことわざのように,
高電圧を用いた電撃タイプの捕虫器があり,虫が自ら光に吸い寄せられて,バリバリと焼けこげるという無残な姿を目にしたものでした。

ところが最近,
新しいタイプの捕虫器がつくられ,上部の「捕虫ランプ」,中部の「ファン」,下部の「捕虫袋」の3つの部位で成立っており,吸込まれた虫は袋の中に溜まるため,袋ごと捨てれば,虫に触れることなく衛生的に処理できるというものです。

家庭用には,
「電気蚊取り器」よりも渦巻き型の昔ながらの「蚊取り線香」が好みです。

家には蚊など一匹もいそうもないようなタレントが,団扇片手に「日本の夏,〇鳥の夏」なんて言うCMがありましたね。

スプレー式の蚊取りを,コメディアンが「ルーチョンキ」などとのたまわりながら,スプレーしまくるようなCMも懐かしいです。

蚊の刺したようにも感じない
というのは少しの痛痒も感じないということですが,実際には,刺されると痒いし,うるさいものです。

世の中に か(蚊)ほどうるさき ものはなし
ブンブ(文武)といひて 夜も寝られず

これは太田南畝(蜀山人,1749-1823)が作った狂歌で,白川藩主であった老中・松平定信(1759-1829)が行った寛政の改革を批判したものとして有名ですね。

ものはついでに,こういうのもありました。

白河の 清きに魚も 住みかねて
もとの濁りの 田沼恋しき

もちろん,
田沼とは,そのまえの老中・田沼意次(1719-88)のことで,重商主義政策を採りました。
ちなみに,
江戸時代には三大幕政改革が行われていますが

享保の改革(1716-45) 徳川吉宗・主導
寛政の改革(1787-93) 松平定信・主導
天保の改革(1841-43) 水野忠邦・主導

いずれも質素倹約・緊縮財政を推し進めたので,経済はよけいに沈滞することになったのです。

さて
金儲けをもくろんだある芸人が,オオクワガタが高額で売買されて儲かると聞き込んで,自宅で飼いだしたのはよかったのですが,クワガタにつられて虫が湧くようになり,それを気にかけた女房がバルサン(燻煙式の殺虫剤)を焚いて,すべてを殺してしまった,という笑い話のような事実があります。

夏の虫というより,いまや年中いますが
ゴキブリは嫌われていますね。
むかしはアブラムシと言っていました。
あのねのね『赤とんぼの唄』(清水國明・詞 原田伸郎・曲)でも
「赤とんぼ 赤とんぼの 羽根を取ったら アブラムシ」
と歌っています。

殺虫スプレーをかけても即死に至りませんから,追い回すことになり,連中が元気な夏は取り逃がすことも少なくありません。

以前はどこの家でもハエタタキがありましたから,現れても,あれで一撃すればたちどころに取り押さえられました。
ただし,虫の内臓が付着するのが嫌ですね。

話は突然それるようですが,
自動販売機で,紙コップが出てきて,濃縮されたものがその場で適切な熱さ(冷たさ)で混合されて注がれるタイプのものは気を付けてください。
注ぎ口周辺は甘くて暖かくて年中,ゴキブリにとって絶好の住みかです。
内容物を交換にくるお兄さんに「ゴキブリの死骸が挟まっていることがよくあります」と聞いて以来,そのようなタイプを選んだことはありません。

夏の虫は,秋の虫と比べて,風情がありませんね。
ホタルが例外でしょうか。

もうすぐ本格的な夏になると,セミがうるさいですね。
わが家のゴンタな猫は,庭に出ると,セミを捕まえて来ます。
近くに田んぼがあったころには,カエルやヘビをお土産に持って帰ってきて往生しましたが,最近は部屋でわれわれが気づかないような小さな虫を追っかけています。

虫をムシできるくらい大らかな生活ができればよいのでしょうけれど・・・。

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